輝星先輩とは人目を盗んでは一緒にお昼を食べたり連絡を取り合ったりと、コソコソとした関係を続けている。

先輩は最低だ。

カノジョがいるのにキスだって私と平気でできるんだから。

…何よりも一番最低でクズなのはこの私。

大人しい仮面を被って裏では人のカレシに手を出しているんだから。

どんなに最低だとわかっていても、先輩をどうしても手放す気にはなれない。


「…っ」


棗先輩からテストに出そうなところを教えてもらっている恵美ちゃんの邪魔にならないように少し離れていると、さりげなく輝星先輩に腰に手を回され引き寄せられる。

肩がぶつかりそうなほどすぐ横に先輩がいる状況に私の心臓は爆発寸前だ。


「こんな堂々と教室なんて来ちゃっていいの?」

「な…っ!私はただの…」


しーっと先輩は私の方を見ないで口を閉ざすように促してきた。


「…っ。ただの付き添いです…」

「なんだ、俺に会いに来てくれたのかと思ったけど、違ったんだ」