不意に手を伸ばしてきた先輩が私の頭を優しく引き寄せると、今度は強く唇を重ねてきた。


「は…っ、せんぱ…い…?」


長いキスからやっと解放され至近距離にいる先輩を見上げると、熱の込められている瞳と目が合いドキッとする。


「…いいよ。宮本さんのこともっと知りたくなっちゃった。だけど、俺たちの関係が誰かにバレたその時は、もう二度と俺は宮本さんに会わない。それが条件」

「…え?」


人気者で可愛いカノジョもいてなんでも持っている先輩が、まさかなんの変哲もない平凡な私のこんなお願いに乗ってくれるなんて思いもしなかった。

我を忘れてわけのわからないことばかり言って、軽蔑されるとそう思ったのに。先輩は、受け入れてくれた。


「よろしくね、凛花」


こうして登場人物になれた私と先輩の“秘密の関係(うわき)”が始まった。