「…え？」


先輩は驚いたように真っ赤な顔をしているであろう私を見下ろしてきた。


…やばい、やばいやばいやばい。やってしまった。

どうしてかわからないけど、先輩に行ってほしくないと思った。私を見てほしいと思った。

先輩の仕草や言葉一つにドキドキして、勝手に傷ついて、カノジョがいるとわかっているのにキスをしてしまった。


「先輩が、好きです…。二番でもいいから、私を見てください…」


これは、本当に私…？

どんな形でも手段だって構わないから、先輩がほしいとそう思っている。

考えるよりも先に言葉が飛び出してきて、先輩の腕を掴んでいる手にグッと力がこもる。

もう止まらない。


「私と浮気してください」


後から考えてみても、なんでこんな最低なことを私が口にできたのかわからない。

わからなかったけど、この時の私は何を捨ててでも先輩の“特別”になりたいとそれしか考えていなかった。


「ん…っ」