「お、溺れる!」
手を伸ばしマサキは勢いよく起き上がった。
体がじっとりと汗をかいている。
「はぁっ……はぁっ……」
ピピピと目覚まし時計が鳴り始める。
開けっぱなしだった窓から風が入ってきてカーテンを揺らし、隙間から朝日が差し込んでチラつく。
何が起きたのか分からないまま手だけを伸ばして目覚まし時計を止めようとする。
「あれ……?」
手を動かしても目覚まし時計に触れない。
視線を向けるとそこに目覚まし時計はなかった。
探してみると手を伸ばしたのとは逆側に目覚まし時計があった。
ポンと上のスイッチを押してアラームを止めた。
「5月……」
目覚まし時計の表示に目がいった。
日付も表示してくれる時計は今が5月なことをマサキに教えてくれた。
世界が滅びる前にはもう日付なんて意味を成していなかった。
状況も分からなくてとりあえずマサキは倒れ込むように布団に横になった。
「……えっ、うそだろ」
寝転がってぼんやりと天井を眺めていた。
体を横にしたらまた風が入ってきてカーテンが揺れて光が壁に当たっていた。
貰い物のカレンダーが壁にかけてある。
今日の日付を見た後、次に今年が何年かに視線を動かした。
「にせん……えっ、これって」
最後が何年なのかも覚えていないけれど、まだ数えていた頃の年数は覚えている。
記憶にある年数よりも何年も前の年数がカレンダーには印刷してある。
「時が戻った……」
それに伴って一気に色々と思い出した。
世界が滅んで、マサキは死んで、神様に出会った。
色々なことを思い出すと時間が戻ったのだということが理解できた。
マサキの手が震える。
神様から聞いた話を思い出して、急激に自分がこれからの世界を背負っていることを自覚し始める。
聞いた時には実感が湧かない話であったがこうして現実に時が戻ると夢だったなんて否定する気にもなれなかった。
なんでこの日に時が戻ってきたのか考える。
「5月……そうか、俺が覚醒した日だ!」
多くの人にとっては何でもない日であるがマサキにとっては特別な日だった。
今日は人生が変わった日なのだと気づく。
この日にマサキは覚醒した。
「おっと?」
この日に何があったのか思い出そうとしているとスマホに着信が入った。
バイブレーションが鳴り、画面に電話をかけた人の名前が表示されている。
「田中先輩……ああ、そうだ」
少しずつ今日という日に何があったかを思い出してきた。
「おい……おいっ! 何シカトしてんだよ! 電話でろよ! 家出てんだろうな!」
マサキが出ないので留守番電話に切り替わった。
男性の声で罵倒するような声が留守番に録音される。
「もしもし」
留守番電話が終わる前に電話に出ると相手につながった。
「あ、おい!」
「俺、バイト辞めるんで」
罵倒が始まる前にマサキは手短に自分の用件を告げた。
「はぁっ!? いきなりお前……」
「それじゃあもうかけてこないでください」
「何言って……」
マサキは通話を切って相手をブロックする。
これでメッセージも電話もかけて来られなくなる。
「あれが夢じゃないなら……人類は滅びる」
マサキは布団にスマホを投げ捨てて気がついた。
「リスト……」
枕の下に何かがある。
引っ張り出してみるとそれは神様からもらった神が目をつけている人たちのリストであった。
軽く中身を確認してみると記憶の中のものと一致する。
「どうしろってんだよ……」
マサキはリストを改めて確認して頭をかかえる。
知っている名前もいくつかはある。
滅ぶ前の終末の世界においても必死に抵抗をしていた人たちだ。
けれどリストの大半の名前には見覚えもなかった。
そして当然に世界は広く、国は日本だけじゃない。
読み方すら分からない外国の言葉で書かれた名前の方が日本人の名前よりも圧倒的に多い。
「まずは出来ることから始めよう」
絶望的な状況ならもう何回も乗り越えてきた。
何もできない焦燥感に打ちひしがれることもあった。
でも今は少なくとも出来ることはある。
マサキがやらなきゃいけないことは単純だ。
リストに載っている人を見つける。
そしてその人が覚醒者としてゲートの中を攻略するのを配信すればいい。
この際外国人は諦める。
日本人の名前も多くあるので日本人に絞って探してみようと考えた。
「またモンスターと戦うのか……」
そもそもこの世界は突然狂った。
ゲートと呼ばれるものが急に現れて中からモンスターが飛び出してきた。
一時期世界中にゲートが出現してモンスターが溢れ返り、世界は危機に瀕した。
その時に覚醒者と呼ばれるモンスターに対抗する力を持つ人が現れたのだ。
なぜあんなことが起きたのか疑問だったけれど神のゲームだったなど今でも怒りが沸き起こる思いである。
「それでも見ていただけではなかったんだな……」
神様は何もしてくれなかった。
そう思っていたのだけど世界が滅びるのを止めようとはしていてくれたようである。
マサキは体を起こすと流しに向かって顔を洗う。
まだ少し寝ぼけたような頭をスッキリさせようと思った。
冷たい水で顔を洗うと頭が完全に目覚めて怒りが収まって冷静になってくる。
手を伸ばしマサキは勢いよく起き上がった。
体がじっとりと汗をかいている。
「はぁっ……はぁっ……」
ピピピと目覚まし時計が鳴り始める。
開けっぱなしだった窓から風が入ってきてカーテンを揺らし、隙間から朝日が差し込んでチラつく。
何が起きたのか分からないまま手だけを伸ばして目覚まし時計を止めようとする。
「あれ……?」
手を動かしても目覚まし時計に触れない。
視線を向けるとそこに目覚まし時計はなかった。
探してみると手を伸ばしたのとは逆側に目覚まし時計があった。
ポンと上のスイッチを押してアラームを止めた。
「5月……」
目覚まし時計の表示に目がいった。
日付も表示してくれる時計は今が5月なことをマサキに教えてくれた。
世界が滅びる前にはもう日付なんて意味を成していなかった。
状況も分からなくてとりあえずマサキは倒れ込むように布団に横になった。
「……えっ、うそだろ」
寝転がってぼんやりと天井を眺めていた。
体を横にしたらまた風が入ってきてカーテンが揺れて光が壁に当たっていた。
貰い物のカレンダーが壁にかけてある。
今日の日付を見た後、次に今年が何年かに視線を動かした。
「にせん……えっ、これって」
最後が何年なのかも覚えていないけれど、まだ数えていた頃の年数は覚えている。
記憶にある年数よりも何年も前の年数がカレンダーには印刷してある。
「時が戻った……」
それに伴って一気に色々と思い出した。
世界が滅んで、マサキは死んで、神様に出会った。
色々なことを思い出すと時間が戻ったのだということが理解できた。
マサキの手が震える。
神様から聞いた話を思い出して、急激に自分がこれからの世界を背負っていることを自覚し始める。
聞いた時には実感が湧かない話であったがこうして現実に時が戻ると夢だったなんて否定する気にもなれなかった。
なんでこの日に時が戻ってきたのか考える。
「5月……そうか、俺が覚醒した日だ!」
多くの人にとっては何でもない日であるがマサキにとっては特別な日だった。
今日は人生が変わった日なのだと気づく。
この日にマサキは覚醒した。
「おっと?」
この日に何があったのか思い出そうとしているとスマホに着信が入った。
バイブレーションが鳴り、画面に電話をかけた人の名前が表示されている。
「田中先輩……ああ、そうだ」
少しずつ今日という日に何があったかを思い出してきた。
「おい……おいっ! 何シカトしてんだよ! 電話でろよ! 家出てんだろうな!」
マサキが出ないので留守番電話に切り替わった。
男性の声で罵倒するような声が留守番に録音される。
「もしもし」
留守番電話が終わる前に電話に出ると相手につながった。
「あ、おい!」
「俺、バイト辞めるんで」
罵倒が始まる前にマサキは手短に自分の用件を告げた。
「はぁっ!? いきなりお前……」
「それじゃあもうかけてこないでください」
「何言って……」
マサキは通話を切って相手をブロックする。
これでメッセージも電話もかけて来られなくなる。
「あれが夢じゃないなら……人類は滅びる」
マサキは布団にスマホを投げ捨てて気がついた。
「リスト……」
枕の下に何かがある。
引っ張り出してみるとそれは神様からもらった神が目をつけている人たちのリストであった。
軽く中身を確認してみると記憶の中のものと一致する。
「どうしろってんだよ……」
マサキはリストを改めて確認して頭をかかえる。
知っている名前もいくつかはある。
滅ぶ前の終末の世界においても必死に抵抗をしていた人たちだ。
けれどリストの大半の名前には見覚えもなかった。
そして当然に世界は広く、国は日本だけじゃない。
読み方すら分からない外国の言葉で書かれた名前の方が日本人の名前よりも圧倒的に多い。
「まずは出来ることから始めよう」
絶望的な状況ならもう何回も乗り越えてきた。
何もできない焦燥感に打ちひしがれることもあった。
でも今は少なくとも出来ることはある。
マサキがやらなきゃいけないことは単純だ。
リストに載っている人を見つける。
そしてその人が覚醒者としてゲートの中を攻略するのを配信すればいい。
この際外国人は諦める。
日本人の名前も多くあるので日本人に絞って探してみようと考えた。
「またモンスターと戦うのか……」
そもそもこの世界は突然狂った。
ゲートと呼ばれるものが急に現れて中からモンスターが飛び出してきた。
一時期世界中にゲートが出現してモンスターが溢れ返り、世界は危機に瀕した。
その時に覚醒者と呼ばれるモンスターに対抗する力を持つ人が現れたのだ。
なぜあんなことが起きたのか疑問だったけれど神のゲームだったなど今でも怒りが沸き起こる思いである。
「それでも見ていただけではなかったんだな……」
神様は何もしてくれなかった。
そう思っていたのだけど世界が滅びるのを止めようとはしていてくれたようである。
マサキは体を起こすと流しに向かって顔を洗う。
まだ少し寝ぼけたような頭をスッキリさせようと思った。
冷たい水で顔を洗うと頭が完全に目覚めて怒りが収まって冷静になってくる。


