「ミツナ、あまり突っ込みすぎるな!」
ギャルチビーの兵士がだいぶ近くまで迫ってくるようになった。
エイルは馬車のそばにつきながらミツナが前に出て戦う。
だがエイルがすぐにフォローできるようにミツナにはやや引き気味に戦ってもらう。
怪我はしてもらいたくないが戦いである以上怪我をする可能性はどうしても無くならない。
怪我したら気付ける位置、ヒールが届く位置にいてもらわねば困るのだ。
「このままだと分断されて囲まれるな……」
かなり押し込まれてきてエイルも自ら剣を振る。
ブラチアーノが前方に行ったけれど敵を突破できないのか前にもなかなか進まない。
かなり状況が良くない。
打開するために何かないと押し切られてしまうと感じていた。
「お母様!」
「チッ……もうそこまで!」
気づくと相手の兵士が馬車にまで迫っていた。
「娘には指一本触らせない!」
「なっ……!」
馬車のドアをこじ開けた兵士の目にナイフが突き刺さった。
「この子には……近づかないで!」
馬車の中から伸びてきたナイフはエリオーラが突き出したものだった。
血に濡れたナイフを両手で持ってエリオーラは馬車を守ろうとする。
「チッ、邪魔だ!」
「ああああああっ! あーっ!」
「なに!? うわああああっ!」
目的はイルージュである。
エリオーラは殺しても構わないと兵士が剣を振り下ろした。
戦いの心得もないのに小さいナイフでは剣など防ぐことできずエリオーラの右腕が切り飛ばされる。
しかしエリオーラは痛みに声を上げながらナイフを首に突き立てたのである。
もはや執念のようなものを感じる。
「この女……!」
「やめろ!」
「ぐっ!」
仲間をやられたエリオーラにトドメを刺そうをした兵士の背中をブラチアーノが切り裂いた。
「エリオーラ!」
「私はいいから……イルージュを……」
「お父様!」
「イルージュ! ……くっ、邪魔をするな!」
気づいたら兵士がイルージュを抱えて連れ去ろうとしていた。
ブラチアーノが助けに行こうとするけれど兵士たちが素早く間に割り込んで行かせまいとする。
「大丈夫ですか!」
ミツナを呼び寄せたエイルがブラチアーノの助太刀に入った。
「……エイル。私が道を開ける。娘を助けてくれ!」
「……しかしそれでは」
今無茶に相手に突っ込めばかなり危険である。
道を開けようとするブラチアーノの負担はとても大きくなる。
兵士はこうした事態に対応するような訓練は受けていない。
誰かを追いかけていくなら重装でもなく、冒険者として経験のあるエイルたちがいいだろうと咄嗟に判断を下した。
「よい! 私は死んでもいいのだ!」
「お願い……娘を! イルージュを!」
「そんな……」
「私が死んだらつつがなく息子が跡を継ぐことになっている! だから!」
「……分かりました」
ブラチアーノの決死の思い。
エイルは頷くしかなかった。
「うおおおおっ!」
「ミツナ、切り付けながら駆け抜けろ!」
「任せて!」
ブラチアーノが数名の兵士とともに相手に突っ込む。
その後ろからエイルとミツナが続いた。
「お願い……あの子を助けて……」
ブラチアーノたちが何とか切り開いた道をエイルとミツナでさらにこじ開ける。
エイルはヒールを駆使して兵士たちを倒して一気に駆け抜ける。
「無影の魔法使い……頼むぞ」
ギャルチビーの兵士がだいぶ近くまで迫ってくるようになった。
エイルは馬車のそばにつきながらミツナが前に出て戦う。
だがエイルがすぐにフォローできるようにミツナにはやや引き気味に戦ってもらう。
怪我はしてもらいたくないが戦いである以上怪我をする可能性はどうしても無くならない。
怪我したら気付ける位置、ヒールが届く位置にいてもらわねば困るのだ。
「このままだと分断されて囲まれるな……」
かなり押し込まれてきてエイルも自ら剣を振る。
ブラチアーノが前方に行ったけれど敵を突破できないのか前にもなかなか進まない。
かなり状況が良くない。
打開するために何かないと押し切られてしまうと感じていた。
「お母様!」
「チッ……もうそこまで!」
気づくと相手の兵士が馬車にまで迫っていた。
「娘には指一本触らせない!」
「なっ……!」
馬車のドアをこじ開けた兵士の目にナイフが突き刺さった。
「この子には……近づかないで!」
馬車の中から伸びてきたナイフはエリオーラが突き出したものだった。
血に濡れたナイフを両手で持ってエリオーラは馬車を守ろうとする。
「チッ、邪魔だ!」
「ああああああっ! あーっ!」
「なに!? うわああああっ!」
目的はイルージュである。
エリオーラは殺しても構わないと兵士が剣を振り下ろした。
戦いの心得もないのに小さいナイフでは剣など防ぐことできずエリオーラの右腕が切り飛ばされる。
しかしエリオーラは痛みに声を上げながらナイフを首に突き立てたのである。
もはや執念のようなものを感じる。
「この女……!」
「やめろ!」
「ぐっ!」
仲間をやられたエリオーラにトドメを刺そうをした兵士の背中をブラチアーノが切り裂いた。
「エリオーラ!」
「私はいいから……イルージュを……」
「お父様!」
「イルージュ! ……くっ、邪魔をするな!」
気づいたら兵士がイルージュを抱えて連れ去ろうとしていた。
ブラチアーノが助けに行こうとするけれど兵士たちが素早く間に割り込んで行かせまいとする。
「大丈夫ですか!」
ミツナを呼び寄せたエイルがブラチアーノの助太刀に入った。
「……エイル。私が道を開ける。娘を助けてくれ!」
「……しかしそれでは」
今無茶に相手に突っ込めばかなり危険である。
道を開けようとするブラチアーノの負担はとても大きくなる。
兵士はこうした事態に対応するような訓練は受けていない。
誰かを追いかけていくなら重装でもなく、冒険者として経験のあるエイルたちがいいだろうと咄嗟に判断を下した。
「よい! 私は死んでもいいのだ!」
「お願い……娘を! イルージュを!」
「そんな……」
「私が死んだらつつがなく息子が跡を継ぐことになっている! だから!」
「……分かりました」
ブラチアーノの決死の思い。
エイルは頷くしかなかった。
「うおおおおっ!」
「ミツナ、切り付けながら駆け抜けろ!」
「任せて!」
ブラチアーノが数名の兵士とともに相手に突っ込む。
その後ろからエイルとミツナが続いた。
「お願い……あの子を助けて……」
ブラチアーノたちが何とか切り開いた道をエイルとミツナでさらにこじ開ける。
エイルはヒールを駆使して兵士たちを倒して一気に駆け抜ける。
「無影の魔法使い……頼むぞ」


