「何のご用で?」
冒険者ギルドの受付が薄い営業スマイルでエイルに対応する。
「地図を閲覧したい」
「地図ですね? どのようなものを?」
「できるだけ広いものを。国を調べたくて」
「分かりました」
地図は本屋などにも売っているけれど決して安いものではない。
その上売っているものは基本的に国内の地図で、せいぜい隣国までしか見られない。
ウガチやイセキテがどこにあるか分からない。
隣国までしか載っていない地図を買うなんてことはバカらしい。
なので買わずに見せてもらうのである。
冒険者ギルドには様々な地図があってお安い料金で見せてもらうことができる。
細かい地図から周辺国一帯が載った大きな地図まである。
「奥の部屋で閲覧していただきます」
何枚見ようとどれだけの時間見ようと一定の金額でいい。
事前にお金を払ってギルドの奥の部屋に入ると受付の男が地図を持ってきた。
「終わったら呼んでください」
奥の部屋には大きなテーブルが置いてあり、その上にいくつかの地図を置いて受付の男は部屋を出ていった。
「それじゃあ探そうか」
地図があるのはいいけれど実際どこに国があるのかは自分で探さねばならない。
エイルは地図を見てより縮尺の小さい地図を選んでひろげる。
まずは自分のいる国も探さねばならない。
エイルたちがいるのはメジハという国でそこそこ大きな国である。
「えーと……」
地図の中からメジハを探す。
こうして地図を見てみるといろいろな国があるのだなとエイルは思った。
いかに狭い世界で生きてきたのだとふと感じてしまう。
「これじゃないか?」
エイルがぼんやりとしている一方でミツナは真面目に地図を見つめてメジハの国を見つけた。
「おっ、さすがだな」
エイルは懐からコインを取り出すとメジハの国の上に置く。
他の国を探している間にメジハの場所を忘れては面倒なのでコインを置いて目印にしておく。
「次はウガチかイセキテを探そう」
次にカミンに教えてもらった国を探す。
どこにあるのかは予想はつかないけれどエイルも聞いたことがないので近隣の国ではないだろうと思う。
「これだな」
ミツナと分担して探していくとウガチの国を見つけた。
メジハの国から三つほど隣にある国だった。
地図で見ると遠くはないが実際に行ってみようと思うと距離があるなとエイルは目を細めながらコインを置く。
それほど時間もかからずイセキテも見つけた。
ウガチからさらに国二つほど離れたところだった。
「もう一個獣人の国って……」
「そこは嫌……」
「……そうか」
カミンは獣人の国も悪くはないといっていた。
探すために国名を思い出そうとしたのだけどミツナが表情を曇らせていたので獣人の国は考えないことにした。
とりあえず二つも候補の国があれば今のところは十分である。
「トチューとダイアの国を抜ける必要があるのか」
最初から遠い方の国を目指すことはない。
行くとしたらウガチの国に行ってからイセキテの国に行くべきである。
「まずはトチューの国だな」
ざっくりと国しか載っていないような地図なので細かな経路はわからない。
今から全部経路を組み立てていくのも面倒で時間もかかる。
ひとまず考えるべきは隣の国であるトチューの国への経路だろうとエイルは別の地図を取り出した。
メジハの国の地図で端の方にトチューの国も小さく載っている。
「トチューの国もちょっと遠いな……」
今いる場所を探してそこからトチューの国まで道を考える。
トチューの国に行くだけでもかなりの距離がある。
お金は十分に持っているが歩いていくには時間がかかるだろう。
「やはり護衛を受けつつ移動するのがいいのかな」
徒歩での移動をはじめとして移動方法はいくつか考えられる。
馬や馬車を買ったり借りたりするなんて方法もあれば乗合馬車や商人の馬車に同行させてもらうこともある。
この町に来た時のように護衛依頼として商人の馬車に乗ることあるのだ。
エイルとしてはあまり徒歩でとは考えていない。
徒歩でいうのは一番手軽な方法に見えて実は負担が大きい。
持てる荷物に限界があったり夜に番をするのも大変と二人だと徒歩では色々と足りないのである。
もっと仲間がいたなら徒歩でもいいのだけど、エイルは今仲間を増やすつもりはない。
しかし人を雇うのも大きなお金が必要だし信頼できる人ばかりではない。
やはりここは護衛依頼を受けてお金を稼ぎながら複数の人と移動するのが最もいい考えである。
「護衛依頼を探してトチューの国に行こう。そこからさらにダイア、ウガチの国に向かっていこうと思う。それでいいかな?」
「んあ……あ、ああいいぞ」
エイルが色々考えている間ミツナはぼんやりとしていた。
「私は考えることが苦手だ。エイルが行くって言うならなんでもいいぞ」
どうやってウガチの国まで行くのかエイルは頭を悩ませていたけれど、ミツナはそうしたことを考えるのが得意ではない。
エイルが行くなら一緒に行くし、歩くならそれでも全然構わない。
だから考える事をやめてボーッとしていたのである。
冒険者ギルドの受付が薄い営業スマイルでエイルに対応する。
「地図を閲覧したい」
「地図ですね? どのようなものを?」
「できるだけ広いものを。国を調べたくて」
「分かりました」
地図は本屋などにも売っているけれど決して安いものではない。
その上売っているものは基本的に国内の地図で、せいぜい隣国までしか見られない。
ウガチやイセキテがどこにあるか分からない。
隣国までしか載っていない地図を買うなんてことはバカらしい。
なので買わずに見せてもらうのである。
冒険者ギルドには様々な地図があってお安い料金で見せてもらうことができる。
細かい地図から周辺国一帯が載った大きな地図まである。
「奥の部屋で閲覧していただきます」
何枚見ようとどれだけの時間見ようと一定の金額でいい。
事前にお金を払ってギルドの奥の部屋に入ると受付の男が地図を持ってきた。
「終わったら呼んでください」
奥の部屋には大きなテーブルが置いてあり、その上にいくつかの地図を置いて受付の男は部屋を出ていった。
「それじゃあ探そうか」
地図があるのはいいけれど実際どこに国があるのかは自分で探さねばならない。
エイルは地図を見てより縮尺の小さい地図を選んでひろげる。
まずは自分のいる国も探さねばならない。
エイルたちがいるのはメジハという国でそこそこ大きな国である。
「えーと……」
地図の中からメジハを探す。
こうして地図を見てみるといろいろな国があるのだなとエイルは思った。
いかに狭い世界で生きてきたのだとふと感じてしまう。
「これじゃないか?」
エイルがぼんやりとしている一方でミツナは真面目に地図を見つめてメジハの国を見つけた。
「おっ、さすがだな」
エイルは懐からコインを取り出すとメジハの国の上に置く。
他の国を探している間にメジハの場所を忘れては面倒なのでコインを置いて目印にしておく。
「次はウガチかイセキテを探そう」
次にカミンに教えてもらった国を探す。
どこにあるのかは予想はつかないけれどエイルも聞いたことがないので近隣の国ではないだろうと思う。
「これだな」
ミツナと分担して探していくとウガチの国を見つけた。
メジハの国から三つほど隣にある国だった。
地図で見ると遠くはないが実際に行ってみようと思うと距離があるなとエイルは目を細めながらコインを置く。
それほど時間もかからずイセキテも見つけた。
ウガチからさらに国二つほど離れたところだった。
「もう一個獣人の国って……」
「そこは嫌……」
「……そうか」
カミンは獣人の国も悪くはないといっていた。
探すために国名を思い出そうとしたのだけどミツナが表情を曇らせていたので獣人の国は考えないことにした。
とりあえず二つも候補の国があれば今のところは十分である。
「トチューとダイアの国を抜ける必要があるのか」
最初から遠い方の国を目指すことはない。
行くとしたらウガチの国に行ってからイセキテの国に行くべきである。
「まずはトチューの国だな」
ざっくりと国しか載っていないような地図なので細かな経路はわからない。
今から全部経路を組み立てていくのも面倒で時間もかかる。
ひとまず考えるべきは隣の国であるトチューの国への経路だろうとエイルは別の地図を取り出した。
メジハの国の地図で端の方にトチューの国も小さく載っている。
「トチューの国もちょっと遠いな……」
今いる場所を探してそこからトチューの国まで道を考える。
トチューの国に行くだけでもかなりの距離がある。
お金は十分に持っているが歩いていくには時間がかかるだろう。
「やはり護衛を受けつつ移動するのがいいのかな」
徒歩での移動をはじめとして移動方法はいくつか考えられる。
馬や馬車を買ったり借りたりするなんて方法もあれば乗合馬車や商人の馬車に同行させてもらうこともある。
この町に来た時のように護衛依頼として商人の馬車に乗ることあるのだ。
エイルとしてはあまり徒歩でとは考えていない。
徒歩でいうのは一番手軽な方法に見えて実は負担が大きい。
持てる荷物に限界があったり夜に番をするのも大変と二人だと徒歩では色々と足りないのである。
もっと仲間がいたなら徒歩でもいいのだけど、エイルは今仲間を増やすつもりはない。
しかし人を雇うのも大きなお金が必要だし信頼できる人ばかりではない。
やはりここは護衛依頼を受けてお金を稼ぎながら複数の人と移動するのが最もいい考えである。
「護衛依頼を探してトチューの国に行こう。そこからさらにダイア、ウガチの国に向かっていこうと思う。それでいいかな?」
「んあ……あ、ああいいぞ」
エイルが色々考えている間ミツナはぼんやりとしていた。
「私は考えることが苦手だ。エイルが行くって言うならなんでもいいぞ」
どうやってウガチの国まで行くのかエイルは頭を悩ませていたけれど、ミツナはそうしたことを考えるのが得意ではない。
エイルが行くなら一緒に行くし、歩くならそれでも全然構わない。
だから考える事をやめてボーッとしていたのである。


