片手で丸を作って

 人によっては何が違うのとツッコミが入る
かもしれないが微妙に違う気がした。

「いや……普通に名前知らなかったと思って。
深いことは特にない……それじゃ、ダメか?」

 陸与陽は首を傾げて、それだけの理由じゃ
ダメなのかと腕を組んで僕に訴えてくる。

 はい、ダメじゃないです。むしろ、ありが
たいです。

 聞かれただけで胸がキュッとして、高鳴っ
た。

 というか、先ほどよりも距離近くないです
か。

 陸与陽は声を発してから歩いて、僕に近づ
いてきた。

「…普通にダメではない…。あ、じゃあ、改
めまして、瓜生明です」

 バトミントン用の網を両手で持って、頷き、
名前を名乗る。

 陸与陽は僕をジッと珍しいものを見るかの
ように見て、上からではなくまっすぐ向き合
おうとする姿があった。

 下を向いていたはずの陸与陽は顔を上げて、
僕と目線を合わせた。

 前と変わらず、少し猫背気味だけど姿勢は
いい。

 立っている時も立ち姿は綺麗なのに、少し
猫背身なのがもったいない。

 細身で身長180㎝以上はあり、小顔で鼻
筋も通っていて、口紅を塗ったかのようなぷ
っくりとした唇はセクシーさがあり、目元も
クリクリしていた。