片手で丸を作って

自分を慰めるようにしていた。
 深夜なので、声のトーンを落として言う。
 俺も妹と同じなのかもしれない。
 苦しみを分かち合いたいと思うと同時にこ
の人を手に入れたい欲望が明と関わる度に強
くなっていく。
 いなくなるなんてどんな人でも怖い。
「怖いよな、それは」
 妹の頭を撫でながら、俺は目を閉じる。
 …明、俺はもうお前なしじゃ無理だ。
 思考や食べ物の食感も匂いも見る視界も聞
く音も明の存在があるから立っていられる。
 朝まで妹を慰めて、翌日は土曜日なのでゆ
っくり休んだ。
    *
 僕は朝起きて、ラジオ体操をする。
 健康のために自主的にしている。
 土曜日だが、僕は決行することにした。
 それは与陽にドーナツをあげることだ。
 いつも買って食べることしかしてこなかっ
たが、ある決心をした。
 ドーナツを作ることにした。
 作る過程で僕がドーナツを好きになった理
由を言えるかもしれないと思った。
 本当に言えるのかと不安だが、俺にとって
は確信のない根拠だ。
「さて、やりますか」
 僕は腰にエプロンをして、手を洗う。
 ドーナツの作り方はネットで調べて、昨日