片手で丸を作って

 片づけたら、お互い数秒向き終わった後、
その場を後にした。
 学校から自宅に戻り、僕はベットに鞄を放
り投げて、立ち尽くした。
 僕は一体、何をしているのだろう。
 与陽を好いているのに、ドーナツを好きに
なった理由さえ言えないとか。
「あはは。本当、なにしてんだろう」
 自分が情けなくて、笑いたくなくても笑え
てきた。
「アハハアハハアハハ」
 僕は一人で笑って、しゃがみこんだ。
 何もない部屋に僕の笑いだけが耳の中で騒
いでいた。
      *
 俺は明を心配していた。
 唐突もなく聞いた質問に答えられない明に
驚いた。
 いつも笑っていて、どんな人にも笑って接
する明が羨ましくて、俺にはかっこよかった。
 明と話している内に可愛いとかっこいいの
両極端のものを持っていた。
 俺にはないものばかりだ。
 比較的、俺は聡や実以外に接すると、冷た
くなっていた。
 聡や実とは普通に関われるが、心を許した
相手じゃないと話せない。
 聡や実にさえもたまに俺のことを言われた
ときに少し考えてこんでしまう。
 聡や実といても、あまり笑みを零せない。
 だけど、明とは違った。