そっと、壁に隠れていたのを忍者のように
顔をヌッと出した。
そこには彼がいなく、安心して、胸を撫で
下ろす。
「よかったー」
僕はふぅと息を整えて、座り込んだ。
「なにどうしたの?」
僕に朔は聞いていたが、なんでもないと答
えて、体育座りをして項垂れた。
なぜ隠れたのだろう。
別に隠れる必要なんてないのに。
朔は「もう、授業始まるぞ」という声がこだま
のように跳ね返ってくる。
「え? あ、うん」
その声に返事をして、朔と教室に戻った。
それ以来、彼を廊下や授業でもすれ違いも
なければ、会うこともなかった。
名前は後から知った。
割と仲いい人とは話すし、ひそかに人気だ
という。
そんな情報しか知らないが、接点もなく話
もしたことがなかった。
今、話せるきっかけができた。
今だ。
話しかけた。どう?
くる。陸与陽。
「……え? あ、うん。そうだけど」
陸与陽は目を丸くして、僕に反応した。
よし、きちんと答えてくれた。よし。
答えてくれるだけで僕は顔が綻びそうだっ
た。
心の中でガッツポーズをして、陸与陽が僕
の視界から入っていた。
顔をヌッと出した。
そこには彼がいなく、安心して、胸を撫で
下ろす。
「よかったー」
僕はふぅと息を整えて、座り込んだ。
「なにどうしたの?」
僕に朔は聞いていたが、なんでもないと答
えて、体育座りをして項垂れた。
なぜ隠れたのだろう。
別に隠れる必要なんてないのに。
朔は「もう、授業始まるぞ」という声がこだま
のように跳ね返ってくる。
「え? あ、うん」
その声に返事をして、朔と教室に戻った。
それ以来、彼を廊下や授業でもすれ違いも
なければ、会うこともなかった。
名前は後から知った。
割と仲いい人とは話すし、ひそかに人気だ
という。
そんな情報しか知らないが、接点もなく話
もしたことがなかった。
今、話せるきっかけができた。
今だ。
話しかけた。どう?
くる。陸与陽。
「……え? あ、うん。そうだけど」
陸与陽は目を丸くして、僕に反応した。
よし、きちんと答えてくれた。よし。
答えてくれるだけで僕は顔が綻びそうだっ
た。
心の中でガッツポーズをして、陸与陽が僕
の視界から入っていた。



