片手で丸を作って


「うーん、なにしようかな」

 僕はメニュー表を睨みつけるように顎を手に付けて悩んでいた。

「いいよ。ゆっくりで。俺は決まったから待ってる」

 与陽はズボンのポケットに手を突っ込んで、隣で悩んでいる僕を与陽のキリッとした目で見ているのだろうか。

 ものすごい視線を感じた。

 右手は繋がれたままで必死に選んでいる僕を見ていた。

「あ、僕これにする」

 隣にいた与陽を振り返ると、口角を上げていた。

「笑ってどうしたの?」

「いや……可愛いなって」

 与陽は口元を手で押さえて、笑っているのを隠すようにしていた。

「か、可愛いって。なに言ってんだよ。本気で思ってないだろ」

 僕は不意打ちの可愛い発言に胸が潰れそうだった。

「思っているから口に出してるんだよ。聞きたくなかった?」

 クスクスと笑って、僕の顔面に彼が現れる。

「……つ…分かってるくせに…」

 肌艶がいい彼の顔面に視界が入り、「クソ、綺麗」だなと思った。

 しかも、彼が笑うともう僕の想いがはちきれそうだった。

 僕は唇を尖らせて、与陽を見る。

 それを嬉しそうな表情で見ていた。

 与陽は僕が喜ぶことを分かってやっている。