片手で丸を作って

「明~。誰かどうにかしてくれ。俺じゃどう
にもならないわ。あ、そうだ」
 朔は頭を両手で抱え込みながら、何かを思
い出したのか急に携帯を取り出してタップし
ていた。
 僕は机に突っ伏して、寝に入った。
 すると、朔が僕の肩を叩いてきたので起き
上がる。
「なに?」
「あちらを見なさい。明」
「なにその口調。誰だよ」
 僕はヌクッと笑い起き上がると、朔の目線
を見ると、そこには与陽たちがいた。
「与陽」
 僕は目を丸くして、彼を見据える。
「なんで?」
「俺が呼んだの。連絡先聡から聞いて。そこ
から。もしかして…と思って」
 あ、僕の部屋を教えたのは朔で。
 朔から聡くんに伝わり、与陽に教えたのか。
「あ、そうか」
「久しぶり。明くん」
「聡くん?」
「そう。こっちの隣は…」
「久しぶり。元気?」
「あ、実くんまで」
「俺たちのこと覚えてくれたんだ、明くん」
「そりゃそうだよ。覚えてるよ。与陽の友達
だし」
 僕は座ったまま聡くんと実くんを交互に見
る。
「与陽の友達……。与陽、よかったな」
 聡くんはポツリと呟き、与陽の肩を叩いて、
ニヤニヤしていた。