片手で丸を作って


「…ふーん。そっか」

 与陽は一口含ませて、興味なさそうに返事をする。

「そっちこそ、僕のこといつから知ってたの。体育館で出会う前から知ってたって言うけど、
僕のことどこで会ったの?」

 右隣にいる与陽を黒目を動かして、どんな返答がくるのかわからなく、まばたきをして答えを待つ。

「……言わない」

 フンとそっぽを向いて、与陽は真顔のまま僕に言う。

「言わないって、ここまで言っておいて!」

 僕は思わず、右隣にいる与陽を振り返った。

「おっ……やっとこっち向いた」

 そう言って、満面な笑みで僕に笑いかける。

「……っ…」

 また僕は目を逸らして、両手で持っていたマグカップを握りしめて、一口飲む。

 腸内に温かいものが入ってきて、今彼が隣にいることでより身体が温かくなった。

 僕に笑いかけてくるとか、もう可愛すぎないか。

 にやけないように歯を食いしばって、止めようとした。

 それでも収まらなくて、唇を噛みしめた。

「…もう帰っていいよ」

「なんで? もっといたいんだけど」