僕は首を傾げてから、電気ケトルでお湯を沸かしていたので沸くまで待っていた。
「気づいていないだけだよ。明。電話の続きしてもいい?」
そっと優しく僕の背中に右手のひらをそっと手形をつけるかのように触れてきた。
「いいよ。お湯が沸くまでなら」
「…明が思っているよりも俺、結構執念ぶかいんだよ。明と同じだよ。俺も明を想うと苦しくて、話すだけでも嬉しすぎる。今まで話
せなかったから」
背中にあった手のひらが離れて、僕を抱き締めた。
「今まで?」
「そう。俺、あの体育館で出会う前から明のこと知ってた」
「え?」
僕は抱きしめられたまま、後ろにいる与陽に顔を向ける。
「そう。明は俺のこと知ってた?」
「……知ってた…」
「そうなの?」
「うん」
僕は頷いてからそのままお互い見つめあった。
見る度に与陽の肌つやが輝かしく光っていて目を見られなくて、目を逸らした。
「……っ…」
「目逸らすなよ」
「……つ…だって…」
僕は目を合わせることはできなかった。
目があったら、もう与陽の所から離れられなくなる。
「俺、本気だから。あんたが俺を好きになるまで離さない」



