片手で丸を作って

「なんで後ろ姿見せるの。ねぇ、明。顔見せてよ。ねぇ」

 与陽が映っている画面で不貞腐れているのか首を傾げて、僕の後ろ姿を見ているに違いない。

「……見せない! いつも僕だけこんな想い」

 僕は後ろを向いたままだった。

 携帯はスマホ台に置いていたので相手からも僕の画面は見える。 

「こんな想いってどんなの?」

 本当に分からないのか。

 僕はこんなに苦しくて、与陽を想うと、涙を流したくなる。

 声を聞くだけでも嬉しくて舞い上がる。

 今だって、ニヤケを通り越して、ずっと口角の緩みが止まらない。

 そんなの僕だけだよね。

 与陽の想いは与陽より強い。

「あんたを見るだけで嬉しい超えて、苦しいし、いないと寂しくなるし。そんな想い知っ
てるの僕だけだよね」

 僕は後ろを向いたまま、大きい声で言い放つ。

 体育すわりをしていた僕は少し携帯画面を振り返り、与陽は聞いているのか無言であっ
た。

「……………」

 声がしないので完全に画面の方へ振り向いた。

 すると、画面にいるはずの与陽はいなかった。

「なんで?」

 いないの。

 え? 僕との話、つまらなかった。