こんなに食べるのか、まだ午前中だぞとい
う顔をして、朔は表情筋が引きつっていた。
「朔さ、慣れなよ。毎日ドーナツ大体この時
間に食べてんだから」
毎日学校があると、授業が終わったあとの
休憩の時に食べている。
今日はお腹が空きすぎて、早めにドーナツ
を食べる。
「…そうだけど……。明ってさ…」
そう朔が言いかけようとした瞬間、明は朔
の両頬をつめる。
「はい! これでおしまい。僕のドーナツ時
間なくなるじゃん」
僕はドーナツ袋から一つ目のドーナツを取
り出して、口にパクリと入れる。
「痛っ! つねんなよ」
「えへへ。 うまぁ! 最高だわ」
僕は満面笑みで微笑んで、甘ったるいドー
ナツを口内に入れた瞬間、目を見開いた。
ため息を吐いて、頭を抱えている朔。
「朔もいる? ドーナツ。少し分けてもいい
んだよ。うん? どうする?」
ほれほれとドーナツを朔の口元近くを左右
にドーナツを揺らして、食欲をそそらせる。
「ほれ~、食べる? 食べない?」
朔の口元にドーナツを揺らして、それを見
た朔は唾をゴクっと飲んで、揺れているドー
ナツを右往左往に目で追っていた。
「……っ…食べる!」



