「あーいーだ!」
次の授業の日。
俺は元気いっぱいに挨拶する。
「おはよう!今日もよろしくな」
「……おはようございます」
一段と低い声で相田は言う。
「朝飯食べてきてないのか?」
元気がないようなのでそう聞く。
「いえ、朝が苦手なだけです。むしろ先輩朝からなんでそんなにテンション高いんですか」
「授業が楽しみだったからに決まってるだろ。相田に会えるしな」
俺が言うと相田はなぜか手で顔を覆っている。
「どうかしたか?」
「……本当、あんたって人は……」
「ん?」
「なんでもないです」
その時、先生の声が響いた。
「おっし授業はじめるぞ。今日の課題はお互いの創作する作品を決めること!あと大体の日程も考えとけよ。決まったやつらから報告にこい」
「だってよ。どうする?」
「特になにも決めてません」
あっさりと相田は言う。
「年下ファーストで聞いてやってるんだぞ。やりたいことは?」
「ないですね」
「具体的じゃなくてもなんかこうやりたい方針?とかねえの」
「特にないですね」
「おーいー!」
俺は頬を膨らませる。
「それじゃ俺が困るんだけど」
「先輩は何かあるんですか?」
ため息混じりに相田が言ったので俺は言う。
「ある」
「うわ、即答」
相田はまじまじと俺を見る。
「……先輩って意外とマジメ?」
「意外とでもなくマジメだわ」
人のことをなんだと思ってるのか。
「俺、専攻は美容系なの」
「えっと化粧とかですか?」
相田は首を傾げる。
「それもあるけど髪型とか服装とか全部。人を美しくするってのが俺の目標なの」
相田をジッと見る。
「だからお前に決めた」
「は?」
「だって前髪切っていろいろ整えたら絶対格好良いからお前!」
いきなりテンションを上げて言ったので周りが何事かとこちらを見る。
「先輩、声。おさえて」
「ごめん」
俺は口にチャックをするジェスチャーをする。
「えっと……なんですか。それで先輩は俺を選んだんですか」
「そうだよ。そのうっとおしい前髪を切って顔を全面に出したい!俺のモデルになってくれ」
目を丸くした後、視線を下に向けて相田は言った。
「俺も課題、今思いつきました」
「え?マジ?」
「はい。……先輩をモデルにして絵を描かせてください」
なんだそんなことか、と思う。
「いいよ」
「そんな簡単にオーケーしちゃっていいんですか」
「いいって。その代わり格好良く描いてくれよ?」
「わかりました」
相田は頷く。そしてぼそりと言った。
「俺、この授業最初乗り気じゃなかったんですよね。初回から全く知らない人と組んでいきなり作品創作しろとか。でも」
相田は俺をジッと見る。
「適当に乗り切ろうと思ってたけど先輩のためならマジメにやろうかと」
「いや俺のためじゃなくてもマジメにやらんかい!」
俺はつっこむ。
「ていうか俺のため?なんで?」
「だって先輩」
フッと笑う。
「俺をみつけたんですよね。じゃあ期待に応えられるようにします」
「いや、そこまで気負わなくていいって」
俺はノートを取り出した。
「じゃあとりあえず」
『相田をめちゃくちゃ格好良くする!』
大きな字で目標を書いた。
「ほら、お前も書いて」
相田も綺麗な文字で書く。
『美しい鶴見先輩を描く』
「よっし、これで決まりだな」
わはは、今回は時間内に終わったぞ先生ザマミロと思う。
「おい、鶴見相田ペア。終わったか」
その時ちょうどよくと言うべきか先生から声がかかった。
「はい。今日は時間通りですヨネ」
なぜか俺は不真面目そうだと先生からもマークされているのだ。納得いかない。
「お疲れさん。ちょうどいいからこれ放課後教材室に運んどいて」
脈絡なく言うとテキストを渡してくる。
「ええ、なんで?」
時間には間に合ったから罰ゲームじゃないよな?
先生はあっさりと言った。
「だってお前たち二人とも部活入ってないだろ?」
次の授業の日。
俺は元気いっぱいに挨拶する。
「おはよう!今日もよろしくな」
「……おはようございます」
一段と低い声で相田は言う。
「朝飯食べてきてないのか?」
元気がないようなのでそう聞く。
「いえ、朝が苦手なだけです。むしろ先輩朝からなんでそんなにテンション高いんですか」
「授業が楽しみだったからに決まってるだろ。相田に会えるしな」
俺が言うと相田はなぜか手で顔を覆っている。
「どうかしたか?」
「……本当、あんたって人は……」
「ん?」
「なんでもないです」
その時、先生の声が響いた。
「おっし授業はじめるぞ。今日の課題はお互いの創作する作品を決めること!あと大体の日程も考えとけよ。決まったやつらから報告にこい」
「だってよ。どうする?」
「特になにも決めてません」
あっさりと相田は言う。
「年下ファーストで聞いてやってるんだぞ。やりたいことは?」
「ないですね」
「具体的じゃなくてもなんかこうやりたい方針?とかねえの」
「特にないですね」
「おーいー!」
俺は頬を膨らませる。
「それじゃ俺が困るんだけど」
「先輩は何かあるんですか?」
ため息混じりに相田が言ったので俺は言う。
「ある」
「うわ、即答」
相田はまじまじと俺を見る。
「……先輩って意外とマジメ?」
「意外とでもなくマジメだわ」
人のことをなんだと思ってるのか。
「俺、専攻は美容系なの」
「えっと化粧とかですか?」
相田は首を傾げる。
「それもあるけど髪型とか服装とか全部。人を美しくするってのが俺の目標なの」
相田をジッと見る。
「だからお前に決めた」
「は?」
「だって前髪切っていろいろ整えたら絶対格好良いからお前!」
いきなりテンションを上げて言ったので周りが何事かとこちらを見る。
「先輩、声。おさえて」
「ごめん」
俺は口にチャックをするジェスチャーをする。
「えっと……なんですか。それで先輩は俺を選んだんですか」
「そうだよ。そのうっとおしい前髪を切って顔を全面に出したい!俺のモデルになってくれ」
目を丸くした後、視線を下に向けて相田は言った。
「俺も課題、今思いつきました」
「え?マジ?」
「はい。……先輩をモデルにして絵を描かせてください」
なんだそんなことか、と思う。
「いいよ」
「そんな簡単にオーケーしちゃっていいんですか」
「いいって。その代わり格好良く描いてくれよ?」
「わかりました」
相田は頷く。そしてぼそりと言った。
「俺、この授業最初乗り気じゃなかったんですよね。初回から全く知らない人と組んでいきなり作品創作しろとか。でも」
相田は俺をジッと見る。
「適当に乗り切ろうと思ってたけど先輩のためならマジメにやろうかと」
「いや俺のためじゃなくてもマジメにやらんかい!」
俺はつっこむ。
「ていうか俺のため?なんで?」
「だって先輩」
フッと笑う。
「俺をみつけたんですよね。じゃあ期待に応えられるようにします」
「いや、そこまで気負わなくていいって」
俺はノートを取り出した。
「じゃあとりあえず」
『相田をめちゃくちゃ格好良くする!』
大きな字で目標を書いた。
「ほら、お前も書いて」
相田も綺麗な文字で書く。
『美しい鶴見先輩を描く』
「よっし、これで決まりだな」
わはは、今回は時間内に終わったぞ先生ザマミロと思う。
「おい、鶴見相田ペア。終わったか」
その時ちょうどよくと言うべきか先生から声がかかった。
「はい。今日は時間通りですヨネ」
なぜか俺は不真面目そうだと先生からもマークされているのだ。納得いかない。
「お疲れさん。ちょうどいいからこれ放課後教材室に運んどいて」
脈絡なく言うとテキストを渡してくる。
「ええ、なんで?」
時間には間に合ったから罰ゲームじゃないよな?
先生はあっさりと言った。
「だってお前たち二人とも部活入ってないだろ?」
