この思い出に鈴蘭を

初めて裕也先輩と通話した日から二週間ほど立った頃だろうか。

「ねえ、優奈」

急にメッセージが届く。

それは大地くんからだった。

私は心臓が大きく動いたのがわかった。

今更連絡してこないでほしい、無視していよう。

そう自分に言い聞かせたが私は

大地くんと話したい

その気持ちを抑えきれず返信してしまった。

「久しぶり、急になに?」

「最近裕也と仲良いの?」

「なんで知ってるの」

「博樹から聞いた。裕也が最近優奈と通話したりしてるって。」

「そうなんだ。仲良いよ。」

私はそっけなくそう返した。

「やっぱり俺優奈のこと忘れられない、裕也のところじゃなくて俺のところに戻ってきてよ」

「それ本気で言ってるの?」

正直言って私はまだ大地くんのことを忘れられていない。

復縁しよう

そう言われたら本気で悩むくらいにはまだ好きだと思う。

でも前に進むって決めたんだ。

今ここで大地くんのところに戻るわけにはいかない。

「無理だよ。私は裕也先輩と仲良くしたいし、大地くんのところに戻る気なんかないよ」

自分で決めたことなのに、大地くんのところに戻れないのがすごく辛い。

「俺も優奈と別れて、初めは他の女の子でも大丈夫そう思ってたけど、いざそうなってみるとやっぱり優奈がよかったなってそう思うようになったんだよ。裕也に取られたくない。」

「今更都合良すぎたよ。あんだけ私のことを蔑ろにしてきたくせに。」

「失ってから気づいたんだ。自分のことを好きでいてくれる人の大切さに」

「もう遅いよ。もう私は大地くんのこと好きじゃない」

「そうだよな。遅かったよな、今までごめんね。俺じゃない誰かと幸せになってね。でも俺はまだ諦めてないよ、いつでも戻ってきていいからね。」

その言葉に私は涙が溢れた。

大地くんの言葉に私は他人よりも遠い存在になってしまったことを実感した。

届きそうなとこに大好きな人がいたのに、隣に立てるチャンスがすぐそこにあったのに。

この時に復縁してたら私の人生はどんな風に変わってたかな?

貴方は私のことを大きく成長させてくれた人です。

大地くんとの出会いがなければ、私は気づかなかった。

人の愛し方、愛され方。それを失うことの恐怖も。

あとは、幸せも。

全部私に教えてくれたのは大地くん。

もう私たちは一緒になることはないと思う。

けど、もしもまたどこかで会えたら、他の誰かと手を繋いで幸せそうに笑ってる大地くんを見せてほしい。

大地くんの幸せは私にとっての幸せだから。

私たちの出会い方がもっと変わっていれば、環境が違えば、もっと2人で幸せになれたのかもしれない。

大地くんのことを忘れられるまで、私はずっと大地くんの1番の虜で、ファンで、大切な人。

それは2人の関係が終わってしまっても、変わらない。

大好きでした。

私と出会ってくれてありがとう。

今ならそう思うことができるよ。

「さようなら」

その一言だけ返信し、私は大地くんの連絡先をそっと削除した。