この思い出に鈴蘭を

午前7時27分

「朝だよ、遅刻する起きなさい!」

今日も朝から母の怒鳴り声で目が覚める。

彼と会った日から毎日がいつもより早く過ぎてゆく。

目覚めた時に聞こえる鳥の囀り、母の鼻歌、用意された朝食、全てが鮮やかで新鮮で、今ならなんでもできる気がする、そんな自信がみなぎってくる。

あの日からも毎日彼とのやり取りは続いて、週に一回程だがいつもの公園で会ったりもしている。

彼から聞く、学校での日常の数々、その中で女の子が出てくるたびになんだか心がモヤモヤして心臓がぎゅって締め付けられる感覚になる。

そんな気持ちを抱きながら毎日同じ登校道を歩き学校へ行く。

「おはよー‼︎」

今日も一際大きいその声は親友の月本瑠奈のものだ。

瑠奈は中学からずっと同じクラスで仲良くなったポニーテールがチャームポイントのモデルみたいな女の子。

「なんか最近可愛くなった?」

急に瑠奈からそんなことを言われた。

「実は気になる人できたかも、」

「え‼︎早く言ってよ〜それで!誰なの!」

「2個上の先輩、大地さんっていう人」

そこからは一日中瑠奈からの質問責めを受け、恥ずかしがりながらも一つずつ質問に答えた。

毎晩寝落ち通話をしていることも、最近2人きりで会ったことも、手を握られたことも。

「優奈、それ気になってるだけじゃないでしょ。好きなんでしょ」

そう瑠奈に言われて私はドキッとした。

「まだ早いってー笑好きとかそういうのはないない!」

そんなことを言いながらも私は内心少し先輩のことを意識してしまっている自分がいることに気づいている。

そうなのかな?私先輩のこと好きなのかな。気になっ
てるだけじゃないのかな。

自分の気持ちがよくわからない。

「絶対好きだと思ったんだけどなー。こんな優奈見たことないもん笑」

瑠奈はそう言いニヤニヤしながらこっちを見つめる。

「笑わないでよ!私が先輩のこと好きとかありえないから!笑」

「そーう?笑いつでも相談してきなね!」

少し意地悪そうな笑顔で瑠奈は私にそう言った。

「ありがとね笑」

ホームルームが終わり、放課後のチャイムの音が騒がしい教室に鳴り響く。

「じゃあまた明日ね」

「うん!また話聞かせて!」

私は瑠奈と別れ教室を後にした。

なんだか帰り道は瑠奈との会話を思い出して少しモヤモヤした気持ちになった。

自分の気持ち、

先輩のことを考えると胸が熱くなる。

この気持ちは好きって気持ちなのかな?

わかんないや。

私が恋愛なんかできるはずないよ。

そんなことを考えているうちに気がつけば家に着いた。