桜の花も落ち、少しずつ暖かい風が吹き始めた季節。
私と大地くんが別れて1ヶ月が経った。
毎日私は大地くんのことを思い出している。
あの時こうしてたらよかったとか、もっと我慢できてたなとか、後悔が募る。
時間が解決してくれるって思ってたけど、そんなに簡単じゃなかったみたい。
大地くんとのことがあってから私は自分に自信をなくし、男の人が信用できなくなった。
優しくされても、私のこと遊びなのかもと思ってしまったり、好意を寄せられても、本当は彼女がいるのかもしれない。
私なんか可愛くないし、優しくないし、何もできない。
そう思ってしまう。
大地くんのせいだよ。
全部全部。
高校でできた友人には大地くんのことは言っていない。
私は元々友達はあまり多い方ではない。
心を開くまでに時間がかかってしまう。
もう2年生になって新しいクラスになったが、あまりクラスに馴染めてないような気がする。
最近は学校に行くのも憂鬱な気持ちになる。
「早くしないと電車間に合わないよ?」
母の言葉に私は時計に目をやる。
朝の6時17分
電車は6時45分に出発だ。
やばい、急がないと間に合わない。
そう思い私は、急いで身支度を済ませ、自転車を漕いだ。
暖かくなり始めたせいか、少し汗ばむ。
ギリギリ電車に駆け込み、上がった息を整える。
間に合ってよかったぁ。
私は安堵し胸をそっと撫で下ろした。
電車は1時間に一本しか無いため、この電車に乗り遅れた、遅刻確定だ。
眠たい目をこすりながら、電車に揺られること1時間、電車を降り駅から歩いて10分ほどで学校に着く。
私の学校は少し古く、お世辞にも綺麗とは言えない。
きしむ廊下を歩き、私の教室が見えてくる。
少し立て付けの悪く重たい教室のドアを両手で開ける。
「おはよう」
「優奈ちゃんおはよー」
私の挨拶を返してくれたのは2年から同じクラスの赤瀬佳穂だ。
私の通っていた中学から離れた高校なので、知り合いがいなかった私をいつも気にかけてくれる、優しくてムードメーカー的存在だ。
「優奈ちゃん最近元気ないねー、もしやなんかあったな?なんでも話してよー!」
元気にそう言う佳穂は私とは違って満面の笑みで、私に駆け寄ってくる。
子犬みたいでなんだか愛おしく感じる。
「何もないよー!大丈夫!」
私は元気を装い、無理やり笑顔を作った。
「全然大丈夫な顔じゃないよ?助けてーって顔してる!」
佳穂が少し心配そうな顔をしながらそう言う。
私そんなに顔に出てたかな?
少し疑問に思いながらも私は、
「どう言う顔だよ笑」
そう返した。
「やっとちょっと笑ってくれた!私優奈ちゃんと同じクラスになってから笑ってる顔初めて見たかも!」
その言葉にハッとした。
最近私笑えてないな。
作り笑顔ばっかりして、ため息ついて。
大地くんのことばっかり考えて、悩んで、苦しんで。
そんな私とは真反対でいつも笑顔の佳穂が羨ましい。
佳穂はどこか親友の瑠奈に似ている。
笑顔でこちらを覗き込む佳穂に私は安心感を覚えた。
「そうかな?でも最近悩みあるかも。」
佳穂なら話を聞いてくれる、信用したい、そう思えた。
その言葉に佳穂は興味津々と言った顔で私の目を見つめる。
その瞳は吸い込まれそうなほど綺麗で純粋なものだ。
そんな佳穂に、私は深呼吸をし重たい口を開き、大地くんとあった出来事を佳穂に話した。
私が少し不安そうな顔で話している時も、真剣な顔で相槌を打ってくれて、話していて居心地が良かった。
私が話終わると佳穂がゆっくり口を開く。
「辛かったね」
今にも泣きそうな佳穂の顔に私は目頭が熱くなった。
「うん、でももう終わったからね。」
「でもまだ好きなんでしょ?」
その言葉に私はドキッとした。
心の中ではもう好きじゃ無い、嫌いになったそう言い聞かせていたが、やっぱりまだ頭の隅に大地くんは居て、私から離れてくれない。
大地くん、好きだよ。
私はゆっくり首を縦に振った。
「やっぱりね笑そんな簡単に嫌いになんかなれないでしょ」
「うん、私まだ大地くんのこと忘られないし、どんだけ酷いことされても好きってなっちゃうんだよね」
「大地くんのどこが好きだったの?」
私は頭を抱えた。
どこが好きだった、聞かれてみればあまりわからない。
佳穂は悩んでいる私を見て微笑んでいる。
「いざ聞かれるとわかんないよね笑じゃあ嫌いなところは?」
「女の子と話したり、ナンパしたり、私の気持ち考えてくれないところかな?」
好きなところを聞かれた時と違って、嫌いなところはあっさり答えられた。
「依存してる時って好きなところは答えれないけど、嫌いなところは答えれるもんなんだよね〜」
「そうなの?」
「そうそう、なんでなんだろーね。」
私は出会った頃の優しくてかっこいい大地くんが好きだった。
でも付き合ってからは違う。
優しくされないし、構ってくれないし、愛されてなかった。
過去の大地くんに縋ってたんだな、私。
「依存って分かっててもやっぱりダメだね。好きって思っちゃうよ。」
「そうだよね。連絡とかは取ってないの?」
「もう取ってないね。取りたいけど、ダメな気がしてさ」
「好きなのに、ちゃんと気持ち整理できてて偉いね。尊敬するよ。」
「いやいや、そんなことないよ。まだ全然未練タラタラで笑えちゃうよ笑」
「私も失恋したことあるけど、やっぱ辛かったし、ご飯美味しく感じないよね笑」
「わかる!なんでなんだやろうね。胸が苦しくなるんだよね」
2年生になって、初めてこんなに話せて嬉しい気持ちになった。
「私たち気が合うような気がする!笑」
佳穂が満面の笑みでこちらを見る。
「私も思ってた!話してて楽しいし!」
私も笑顔でそう答えた。
この日から私は佳穂との関わりは深くなった。
下校のチャイムがなる。
「じゃあね!優奈!」
急に呼び捨てで呼ばれてびっくりしたが、交友が深まったように感じて、胸が高鳴った。
「うん!じゃあね、佳穂!」
私と佳穂は手を振り教室を後にした。
帰りの電車の中、いつものようにスマホをいじっていると急にメッセージが届いた。
誰だろう。
そう思い開いてみると裕也先輩からだ。
「最近どうなの?」
そういえば裕也先輩と最近話してなかったから、心配してくれたのかな?
そう思い私はすぐに返事を返した。
「まだ忘れてないです、やっぱり夜とか1人になると泣いちゃう時もあります笑」
裕也先輩の前だったらつい弱音吐いちゃうなぁ
干渉に浸っているとすぐに返信がきた。
「そう簡単には忘られないよね。泣くくらい本気ってことだから、優奈ちゃんはすごいよ」
「嬉しいです!なんで夜ってこんなに寂しくなるんですかね笑早く忘ちゃいたいです。」
「夜は寂しいよね。よかったら今日の夜通話しない?優奈ちゃんを慰める会!みたいな!」
突然の誘いに驚いたが、悪い気はしない。
裕也先輩は高校の時男女問わずすごくモテていたらしい。
直接会ったことはないものの、連絡を取り合っているだけで優しいのが伝わってきて、その理由がよくわかる。
確かに、夜は誰かと通話したい気分になるし、まだ1人は寂しくて泣いてしまう時だってある。
せっかく誘ってくれているし、ちょっとくらいいいよね。
そう思い私は裕也先輩からの誘いを承諾した。
私と大地くんが別れて1ヶ月が経った。
毎日私は大地くんのことを思い出している。
あの時こうしてたらよかったとか、もっと我慢できてたなとか、後悔が募る。
時間が解決してくれるって思ってたけど、そんなに簡単じゃなかったみたい。
大地くんとのことがあってから私は自分に自信をなくし、男の人が信用できなくなった。
優しくされても、私のこと遊びなのかもと思ってしまったり、好意を寄せられても、本当は彼女がいるのかもしれない。
私なんか可愛くないし、優しくないし、何もできない。
そう思ってしまう。
大地くんのせいだよ。
全部全部。
高校でできた友人には大地くんのことは言っていない。
私は元々友達はあまり多い方ではない。
心を開くまでに時間がかかってしまう。
もう2年生になって新しいクラスになったが、あまりクラスに馴染めてないような気がする。
最近は学校に行くのも憂鬱な気持ちになる。
「早くしないと電車間に合わないよ?」
母の言葉に私は時計に目をやる。
朝の6時17分
電車は6時45分に出発だ。
やばい、急がないと間に合わない。
そう思い私は、急いで身支度を済ませ、自転車を漕いだ。
暖かくなり始めたせいか、少し汗ばむ。
ギリギリ電車に駆け込み、上がった息を整える。
間に合ってよかったぁ。
私は安堵し胸をそっと撫で下ろした。
電車は1時間に一本しか無いため、この電車に乗り遅れた、遅刻確定だ。
眠たい目をこすりながら、電車に揺られること1時間、電車を降り駅から歩いて10分ほどで学校に着く。
私の学校は少し古く、お世辞にも綺麗とは言えない。
きしむ廊下を歩き、私の教室が見えてくる。
少し立て付けの悪く重たい教室のドアを両手で開ける。
「おはよう」
「優奈ちゃんおはよー」
私の挨拶を返してくれたのは2年から同じクラスの赤瀬佳穂だ。
私の通っていた中学から離れた高校なので、知り合いがいなかった私をいつも気にかけてくれる、優しくてムードメーカー的存在だ。
「優奈ちゃん最近元気ないねー、もしやなんかあったな?なんでも話してよー!」
元気にそう言う佳穂は私とは違って満面の笑みで、私に駆け寄ってくる。
子犬みたいでなんだか愛おしく感じる。
「何もないよー!大丈夫!」
私は元気を装い、無理やり笑顔を作った。
「全然大丈夫な顔じゃないよ?助けてーって顔してる!」
佳穂が少し心配そうな顔をしながらそう言う。
私そんなに顔に出てたかな?
少し疑問に思いながらも私は、
「どう言う顔だよ笑」
そう返した。
「やっとちょっと笑ってくれた!私優奈ちゃんと同じクラスになってから笑ってる顔初めて見たかも!」
その言葉にハッとした。
最近私笑えてないな。
作り笑顔ばっかりして、ため息ついて。
大地くんのことばっかり考えて、悩んで、苦しんで。
そんな私とは真反対でいつも笑顔の佳穂が羨ましい。
佳穂はどこか親友の瑠奈に似ている。
笑顔でこちらを覗き込む佳穂に私は安心感を覚えた。
「そうかな?でも最近悩みあるかも。」
佳穂なら話を聞いてくれる、信用したい、そう思えた。
その言葉に佳穂は興味津々と言った顔で私の目を見つめる。
その瞳は吸い込まれそうなほど綺麗で純粋なものだ。
そんな佳穂に、私は深呼吸をし重たい口を開き、大地くんとあった出来事を佳穂に話した。
私が少し不安そうな顔で話している時も、真剣な顔で相槌を打ってくれて、話していて居心地が良かった。
私が話終わると佳穂がゆっくり口を開く。
「辛かったね」
今にも泣きそうな佳穂の顔に私は目頭が熱くなった。
「うん、でももう終わったからね。」
「でもまだ好きなんでしょ?」
その言葉に私はドキッとした。
心の中ではもう好きじゃ無い、嫌いになったそう言い聞かせていたが、やっぱりまだ頭の隅に大地くんは居て、私から離れてくれない。
大地くん、好きだよ。
私はゆっくり首を縦に振った。
「やっぱりね笑そんな簡単に嫌いになんかなれないでしょ」
「うん、私まだ大地くんのこと忘られないし、どんだけ酷いことされても好きってなっちゃうんだよね」
「大地くんのどこが好きだったの?」
私は頭を抱えた。
どこが好きだった、聞かれてみればあまりわからない。
佳穂は悩んでいる私を見て微笑んでいる。
「いざ聞かれるとわかんないよね笑じゃあ嫌いなところは?」
「女の子と話したり、ナンパしたり、私の気持ち考えてくれないところかな?」
好きなところを聞かれた時と違って、嫌いなところはあっさり答えられた。
「依存してる時って好きなところは答えれないけど、嫌いなところは答えれるもんなんだよね〜」
「そうなの?」
「そうそう、なんでなんだろーね。」
私は出会った頃の優しくてかっこいい大地くんが好きだった。
でも付き合ってからは違う。
優しくされないし、構ってくれないし、愛されてなかった。
過去の大地くんに縋ってたんだな、私。
「依存って分かっててもやっぱりダメだね。好きって思っちゃうよ。」
「そうだよね。連絡とかは取ってないの?」
「もう取ってないね。取りたいけど、ダメな気がしてさ」
「好きなのに、ちゃんと気持ち整理できてて偉いね。尊敬するよ。」
「いやいや、そんなことないよ。まだ全然未練タラタラで笑えちゃうよ笑」
「私も失恋したことあるけど、やっぱ辛かったし、ご飯美味しく感じないよね笑」
「わかる!なんでなんだやろうね。胸が苦しくなるんだよね」
2年生になって、初めてこんなに話せて嬉しい気持ちになった。
「私たち気が合うような気がする!笑」
佳穂が満面の笑みでこちらを見る。
「私も思ってた!話してて楽しいし!」
私も笑顔でそう答えた。
この日から私は佳穂との関わりは深くなった。
下校のチャイムがなる。
「じゃあね!優奈!」
急に呼び捨てで呼ばれてびっくりしたが、交友が深まったように感じて、胸が高鳴った。
「うん!じゃあね、佳穂!」
私と佳穂は手を振り教室を後にした。
帰りの電車の中、いつものようにスマホをいじっていると急にメッセージが届いた。
誰だろう。
そう思い開いてみると裕也先輩からだ。
「最近どうなの?」
そういえば裕也先輩と最近話してなかったから、心配してくれたのかな?
そう思い私はすぐに返事を返した。
「まだ忘れてないです、やっぱり夜とか1人になると泣いちゃう時もあります笑」
裕也先輩の前だったらつい弱音吐いちゃうなぁ
干渉に浸っているとすぐに返信がきた。
「そう簡単には忘られないよね。泣くくらい本気ってことだから、優奈ちゃんはすごいよ」
「嬉しいです!なんで夜ってこんなに寂しくなるんですかね笑早く忘ちゃいたいです。」
「夜は寂しいよね。よかったら今日の夜通話しない?優奈ちゃんを慰める会!みたいな!」
突然の誘いに驚いたが、悪い気はしない。
裕也先輩は高校の時男女問わずすごくモテていたらしい。
直接会ったことはないものの、連絡を取り合っているだけで優しいのが伝わってきて、その理由がよくわかる。
確かに、夜は誰かと通話したい気分になるし、まだ1人は寂しくて泣いてしまう時だってある。
せっかく誘ってくれているし、ちょっとくらいいいよね。
そう思い私は裕也先輩からの誘いを承諾した。
