この思い出に鈴蘭を

「もしかして彼女と話した?」

「なんで?」

「さっき彼女と通話してて別れようって言われた」

「え?そうなの?私知らないよ」

私は大地くんに嘘をついた。

だって話していることがバレたら別れるって言われたから、本当のことなんて言えるわけがない。

「ふーん、嘘ついてないよね?」

「うん、ついてないよ。疑ってるの?」

「まあね。」

やっぱり私って大地くんに信用されてないな。

そう思うと余計に辛くなる。

「それが聞きたかっただけだから、俺今から友達のところ行ってくるわ。」

「わかった」

大地くんに私が萌ちゃんと話したことはまだバレてないみたい。

私はホッとした。

今の時刻は14時ごろ。

なんか疲れたな、少し昼寝でもしよう。

そう思い私はベッドで仮眠をとった。

目が覚めると辺りは真っ暗で時計を確認すると5時間ほど経っている。

「寝過ぎたな」

そう思い一階へ駆け足で降りた

「やっと起きた?ご飯食べて、お風呂入っちゃいな」

そう母に急かされ私はご飯とお風呂を済ませた。

2階に上がり自分の部屋に帰る。

昼寝をし過ぎてしまったせいだろう、少しも眠たくない。

今日は久しぶりにオール確定かもしれない。そんなことを思っていると

「帰ったよ」

大地くんからのメッセージ

「おかえり、暇だから通話しようよ」

私は大地くんを通話に誘った。

「いいよ、お風呂入るから待ってて」

今日はゲームないみたい、萌ちゃんと別れたからかな。

30分ほど経った頃だろうか

「できるよ」

大地くんからメッセージがきた。

「わかった!」

そう返信するとすぐに

ブーブー

大地くんから通話がかかってきた。

「もしもし〜、お待たせ」

「もしもしー、今日は楽しかった?」

「楽しかったよ」

「誰と遊んだの?」

「裕也と博樹」

「そうなんだ、何したのー」

「買い物したよー」

「いいなぁ、何か買ったの?」

「特に買ってないけど、そういえば今日マジで可愛い子居てさ、博樹と俺でナンパして連絡先交換したんだよね笑マジで楽しかったわ」

「え?ナンパ?」

「うん、なに?」

当たり前かのようにそう言う大地くんに私は開いた口が塞がらない。

「なんで?」

「なんでって、ダメなの?」

「いや、私彼女だよね、私が嫌がるって思わなかったの?」

「何?束縛?可愛い子居たから声かけただけじゃん、優奈のそういうところ重いわ、前の彼女そんなことじゃ何も言ってこなかったけどね」

そう少し呆れた声で言う大地くんに私は怒りを覚えた。

「重いとかそういうこと言わないでよ。大地くんの気持ちが軽いだけでしょ。束縛とかじゃないし、元カノと比べるとか意味わかんないよ。」

私は怒った強い口調で伝えた

「いや束縛でしょ、ナンパすることの何がダメなの」

「他の女の子のこと可愛いって言ったり、連絡とったりしたら私は嫌な気持ちになるよ」

「俺は可愛いって思ったら可愛いっていうし、そう思う子とは仲良くしたいって思うけど」

「じゃあ私が他の男の子の事をかっこいいって言ったり、連絡とったりしてたら嫌な気持ちにならないの?」

「そんなことしてたら別れるよ」

「自分が嫌なら自分もしないでよ。」

「いや、俺は良いけど優奈はダメだよ」

私は自分の耳を疑った。

なんで自分勝手な人なんだろう。

こんな男に2年も寄り添ってきた萌のことを思うと本当に尊敬しかない。

「そっか、私はさ友達といる時に私の気持ちを考えずに行動したのが一番嫌だったな」

さっきとは裏腹に私は優しい声で自分の気持ちを伝えた

「いや、友達といる時まで俺は優奈のことなんか考えてないよ。」

「私は友達といる時も学校でもお風呂でも、ずっと大地くんのこと考えてるよ、ナンパして私が嫌な気持ちになることも考えなかったってこと?」

「俺そこまでいつも優奈のこと考えてないし、ナンパって別に悪いことだとは思わないんだけど」

なぜかナンパすることを正当化し始める大地くんが心底腹が立つ

「なんで?」

「だってナンパすることでコミュ力とかも上がるし、ナンパが成功したら自信にもなるじゃん、それで可愛い子と話せるとか良いことしかないじゃんか」

「いや、それ以前に彼女が居て、彼女が嫌がるようなことはしないのが普通じゃないの」

「他の人のことよりまず自分でしょ笑」

その一言で大地くんの中の私の優先順位の低さがよく分かった。

「私はこんなに大地くんのことが好きなのに、なんで分かってくれないの」

「初めに言ったよね?俺は優奈のこと好きじゃないって、今更そんなこと言われても困るんだけど」

「そうかもしれないけど、私彼女だよ?私のこと少しは優先してくれても良いんじゃないの?」

「だからそういうところだって重いんだよ、めんどくさい」

私の好きな重さと大地くんの好きな重さは、天秤にかけなくても一目でわかるほど傾いている。

「私ってそんなに重いかな。」

「重いよ、めんどくさいからやめてね」

「分かった。」

私は大地くんに自分の意見を伝えるのを諦めた

これ以上反論すれば捨てられてしまいそうで、怖かった。

どんな扱いをされようと私は大地くんのことが好きだ。

それは変わらない

さっきまで怒りに任せて喋っていたせいか、急に冷静になると涙が溢れる

なんで大好きな大地くんにあんな酷い事言っちゃったんだろう。

私が全部間違ってた

「大地くんごめんね、私が悪かった。ナンパもして良いし、他の女の子とも話したいよね、大地くんの気持ち考えてなかった」

「分かってくれたなら良いんだよ。」

大地くんに認めてもらえたことが嬉しい

私の中の生きがいは大地くんだ

安心したのかまた涙がこぼれ落ちる。

「ありがとう、大好きだよ」

「うん、ありがと」

私はその後も泣き続け、疲れたのか眠ってしまっていた。



これは私が付き合ってから初めて大地くんに気持ちを面と向かって正直に伝えた日だった。

今までの私は大地くんに合わせて、自分の気持ちに蓋をしていた。

でも私は今日の出来事で気づいた

自分の気持ちを出せば出すほど嫌われる、重いと思われる。

面倒くさいとか酷いこともいっぱい言われた。

異性との距離感は人それぞれの価値観だと思う

だけど大地くんの中の自分の優先順位が下がっていくのが目に見えて私はとても辛くなった。

初めは隣にいるだけでよかったのに、次は自分のものにしたい、ってだんだん欲張りになっている自分がいる。

嫌われて捨てられてしまうかもしれない恐怖と自分のことだけを見ていて欲しい私の独占欲。

抑え切れない自分の気持ちに正直になりたい。

私が大地くんの隣を笑顔で歩ける日はいつになったら来るのかな。

本当にこのままで幸せになれるのかな?

大地くんは私のことを幸せにしてくれるのかな?

そんな疑問が日に日に溜まっていく。

自分の気持ちが切れるまで大地くんといよう。

そう強く心に誓った

けれど、我慢にも限界がある

皆さんは好きな人の為に浮気されたり、自分の優先順位が下がったらどのくらい我慢できますか?

私は半年我慢し続けました

大地くんのことを愛して、大地くんのために我慢し続けた私が報われることはあるのでしょうか。