「起きて!遅刻する!」

母の声で目が覚めた。

なんだか身体が重い。

スマホを確認して大地くんからの「おはよ」の一言がないことで私は大地くんと別れたことへの実感が湧いた。

心に大きな穴がぽっかり開いているように感じる。

何もやる気が起きない。

「起きなって言ってるでしょ!何してるの?」

「今日学校行きたくない」

「なんで?ズル休みなんか許さんよ!」

「頭痛い」

「確かに顔色良くないね、じゃあ今日はお休みの連絡入れとくから、家でゆっくりしてなね、母さんは仕事あるから」

心配そうな顔をする母に申し訳ない気持ちになりながら私は

「うん、ありがとう」

そう一言だけ母に告げ私は布団を頭まで被った。

母さんに嘘ついちゃったな、

少し罪悪感を覚えながらも私の頭は大地くんでいっぱいになる。

昨日の夜あんだけ泣いたのに、まだ涙が溢れてくる。

大地くんは私を泣かせる天才だね。

付き合う前も大地くんの前で大泣きしたなぁ。

大地くんがゲームで通話が遅くなる夜も寂しくて泣いちゃった夜もあった。

数えきれないくらい大地くんで泣いたけど、それを泣き止ませてくれたのも大地くん。

私の生活の中心にいたのはいつも大地くんだった。

今何してるんだろう。大地くんに会いたいよ。

復縁したい気持ちが日に日に募る。

その日から三日ほど学校を休んでしまった。

でも何もやる気が出ない。

ベッドから起き上がるのもやっと。

ご飯も喉を通らない、味がしない。

こんなこと前にもあったな、先輩に初めて振られた日だ。

何もするにも先輩との思い出が蘇る。

誰かと話したい、1人でいたらどうにかなっちゃいそう。

死にたい。

私は人生で初めてそう心から思った。

「裕也先輩」

私は気づいたら裕也先輩に連絡していた。

話し相手が欲しい。

誰かに自分の気持ちを知ってほしい、その一心だった。

「どうしたの?」

「やっぱり大地くんと復縁したいです」

何言ってんだろ私。

「優奈ちゃんがそうしたいなら連絡してみたらいいと思うけど、俺はおすすめしないよ、また辛い想いするのは優奈ちゃんだよ」

「そうですよね、分かってるんですけど、浮気された辛さより、一緒にいれないほうが辛いんです」

「そっか、俺はあんまり失恋とかそういう経験をしたことないからわからないけど、後悔ない選択をした方がいいと思うよ」

後悔ない選択か。

やっぱり大地くんが好きだ。

「そうですよね、お話聞いてくれてありがとうございました。大地くんに連絡してみようと思います。」

「うん、会ったりとかは辞めときなよ。辛くなるから」

「わかりました」

私は裕也先輩とのメッセージが終わった後大地くんに連絡した。