この思い出に鈴蘭を

私は緊張し切ってしまいキョロキョロしてしまう。

そんな私を気遣ってか彼は私と目線を合わせながら、「わざわざ会いにきてくれてありがとうね」と声をかけてくれた。

だが私は根っからの人見知りだ、何を話せばいいのか全くわからない。

なんとか話題を出そうとした私の答えは

「す、好きなタイプとかありますか?」

合コンの時のモテない女の人がしそうな話題を出してしまい恥ずかしくなり、先輩の顔を恐る恐る見てみると

「なにそれ笑合コンみたい笑」

笑いながらそう言われた。

「やっぱりそう思いますよね笑」

「面白いじゃん笑んー、タイプか」

眉間にしわを寄せ考え込む先輩がなぜか可愛らしく思えた。

「髪の毛短くて、ストリート?っぽい服装の人かな?優奈ちゃんは?」

「え?私?」

まさか聞き返されるとは思ってもみなかった私は情けない声が出てしまった。

「なに?教えてくれないのー?笑」

からかったような顔でそう聞いてくる先輩はやけに楽しそうだ。

「んー、好きになった人がタイプです!笑」

「何それ笑」

普通すぎるかな?

面白くないとか思われてないかな?

そんな心配をよそに先輩はずっと笑ってくれている。

先輩の声は低く落ち着いていて、なんだか安心する声だ。

そこからは私も少しずつだが先輩に心を開いていった。

バスケの試合がどうだとか、今日学校でこんなことがあったとか、友人との日常などのくだらない話はとても楽しくあっという間に時間が経ってしまう。

2時間ほど話した頃だろうか、気づけば周りは真っ暗で、公園の古びた時計は8時過ぎを刺している。

「そろそろ帰ろっか」彼のその言葉に私はどこか切ない気持ちを抑えながら彼に手を振り別れを告げ家へ帰ることにした。

帰り道はなぜか、いつもより長く、時間が経つのが遅く感じた。

バイバイってさっきしたばっかりなのに、早く彼に会いたい。

彼の手に触れたい、彼に私のことを見ていて欲しい。

そんなことを考えながら自転車を走らせた。

こんな気持ちになったのは初めて、この気持ちはなんだろう。

その日から私は彼が頭から離れない日々を過ごすことになる。

これが私にとって人生の分岐点になることになるとは予想もしてなかった。