映画を見終わり外に出る。

「本当感動したなー。」

「本当にねー、泣きそうになっちゃったよ。」

「だね〜、駅まで歩こっか。」

私と先輩は駅まで歩き始めた。

いつ告白しようかな。
2人きりの方がいいよね。

そう考えていた私の目の前に誰もいない公園が目に入った。

「先輩、私疲れちゃったからベンチ座って休憩しようよ」

「いいよー。」

私たちは少しベンチに腰掛けた。

「なんか疲れちゃったね。」

「だよねー。」

告白するなら今しかない。
そう思い私は勇気を振り絞った。

「ねえ、先輩!」

「どーした?」

「先輩私やっぱりまだ諦めきれない。先輩の方が好きです。付き合ってください。」

自分でも気持ちを真っ直ぐに伝えることができたと思う。

そんな私を見て先輩は真剣な顔をして

「俺、優奈のこと好きじゃないよ、それでもいいの?」

「うん、」

本当は嫌だけど、一緒にいれるなら先輩の隣に立てるならそれでも大丈夫

私が我慢するから。

「じゃあいいよ、付き合おっか。」

「本当?」

「うん、本当。」

夢見たい。ずっと憧れてた先輩と付き合えることになるなんて。

「ありがとう!」

思わず私は先輩に抱きついた。

「わぁ!びっくりした、これからよろしくね。優奈!」

「うん!」



家まで先輩が私を送ってくれた。

「お家まで送ってくれてありがとう!」

「いいよ、今日楽しかったね。」

「うん!楽しかった!また行きたいね!」

「そうだね。」

先輩が鞄の中を漁り始める。

「どうしたの?」

「実は優奈にプレゼントがあります!」

そう言って取り出したのは小さな香水

「え!どうしたのこれ!」

「この香水俺の使ってるやつと同じやつなんだ、いつも通話とか待たせたり、寂しい思いさせてるかなって思って優奈がトイレ行ってる間に買っといた」

鼻を掻きながら照れ臭そうに先輩はそういった。

「ありがとぉ。」

私は初めて先輩からもらったプレゼントに思わず涙が溢れた。

「なんで泣いてんの笑」

「だってとっても嬉しかったから」

私はその香水をギュッと握りしめた。

「泣かないでよ笑嬉しい時は笑って?」

その言葉に私はニコッと先輩に笑顔を向けた。

「やっぱり笑顔の方が可愛いよ」

「そうかな?」

照れながらそう言う私に先輩は優しくキスをした。

自分の唇に触れた先輩の唇はすごく柔らかく、温かい。

「何照れてるの?笑俺そろそろ帰るね?」

「別に照れてないもん!じゃあまた明日!バイバイ!」

顔を真っ赤にしてそう言い手を振る私に手を振りかえし帰っていった。

信じられない。

私が先輩の彼女?

さっきキスもされちゃったし…。

上がったままの私の口角はなかなか下がってくれない。

そのまま家に入ると母が夕食を作って待っていた。

「何そんなニヤニヤして気持ち悪い。」

母の冷たい声が聞こえる

そんな母とは裏腹に私は

「実は彼氏できましたー!」

満面の笑みで母に言った。

私は遂に先輩のことを母に伝えた。

「そーなん。おめでとう」

思いの外あっさりした態度の母。

「あれ?思ってた反応と違った。」

「だって最近様子変だったし。そんなことだろうとは思ってたよ。」

やっぱり母にも嘘はつけないな。

私は早めにご飯とお風呂を済まし布団に入った。

「先輩!今日はありがとう!めっちゃ楽しかった!」

「うん、俺も」

相変わらずそっけない返信の先輩。

付き合ったら変わるって思ったけどやっぱり私のこと好きじゃないもんね。

「つーわできる?」

「今日もゲームある」

「りょーかい」

寂しいな…

私の視線の先には先輩からもらった香水がある。

蓋を開けて少し自分にふってみた。

するとすぐに身体は先輩の匂いに包まれ、すぐ隣に先輩がいるかのように感じた。

私はそう思うと安心して、さっきまでの寂しい気持ちは少しだが軽減されたようにも感じた。

先輩今日もゲームか。しょうがないよね。

私は自然とそう思うことができた。

あ!そうだ、暇だし瑠奈に連絡してみよう。

「瑠奈〜、ご報告があります!」

「なになにー?」

「実は先輩と付き合えましたー!」

「え!おめでとうすぎる!なんでなんで!」

「なんか今日映画行って、告白したら好きじゃなくていいならいいよって言われて付き合った。」

「え?先輩優奈のこと好きじゃないの?」

「うん。」

「優奈はそれでいいの?」

「うん、私は大丈夫!先輩と一緒にいれたらそれで良いって思っとるよ。」

「優奈がいいならいいけど、なんかあったら直ぐに言いなよ?」

「ありがとぉ、やっぱ頼れるのは優奈だけだよ。」

「嬉しいこと言ってくれるじゃん、いつでも頼ってよ!」

「うん!じゃあそろそろ寝るね!おやすみ」

「はーい!おやすみ!」

私は瑠奈との会話が終わったあと、デートの疲れもあってか直ぐに眠りについた。