この思い出に鈴蘭を


5分ほど歩いた頃だろうか先輩がピタッと足を止めた。

「ついたよー。」

私の目の前にはいかにもお婆ちゃんの家って感じの想像してた先輩の家とは180度違う家が建っていた。

「今日家誰もいないから。」

その先輩の言葉に私は今までにないくらいの緊張と焦りを感じた。

だって私そんな経験一回もないんだもん。

こんなことならもっと色々勉強しておくべきだった。

少し過去の自分を恨む。

家に入っていく先輩の後ろを着いていき、2階へ上がる。

「ここが俺の部屋。汚くてごめん。」

「全然そんなことない!綺麗だよ!」

緊張のあまり声が裏返る。

そんな私とは裏腹に、先輩はいつもより少し低い声で落ち着いた様子

「男の子の部屋にくるの初めて?」

私は静かに頷いた。

ベットに押し倒される。

私はゆっくりと目を閉じる。

「大丈夫、優しくするから」

私は今日初めて男の人と体を重ねた。

思っていたよりも痛くはない。

先輩の温もり、漏れる声、初めての感覚。

それらが私の体を包み込む。

先輩と私は一つになった。

ここから私はあまり記憶がない。

起きたら先輩のベッドの上だった。

「あれ?起きちゃった?」

「すみません寝てたみたいで。」

先輩の余裕のない顔、声全てが脳裏に焼き付いて離れない。

思い出して私は少し恥ずかしくなった。

「全然大丈夫だよ。ところで一つ聞きたいことがあるんだけどいい?」

先輩から真剣な顔でこちらを見つめる。

「??大丈夫だよ。」

「俺のことまだ好き?」

私は戸惑った。

本当のことを伝えるべきなのか、嘘を着いて先輩との関係を続けるか。

本当は大好きだよ、でも自分の気持ちよりもずっと一緒にいたい気持ちの方が大きいんだよ。

今日自分に正直になるって決めたばっかりなのに。

意思弱いなぁ私。

「んーん!全然!もう吹っ切れちゃったよー」

私は初めて先輩に嘘をついた。

本当は好きってまだ大好きって伝えたい。

でも先輩とずっといたい。

どこか儚く切ない気持ちが私に押し寄せ今にも泣きそうになる。

「嘘ついてるでしょ。だって泣きそうじゃんか。」

先輩にはバレバレみたい。

何も言い返せない。喋ったら涙が溢れてしまいそう。

俯き黙り込む私を抱き寄せ、その大きな身体で私を包み込んでくれる。

「自分の気持ち押し殺して泣いてまで、嘘つかないでいいよ。」

その言葉に私は柄にもなく先輩の腕の中で大泣きしてしまった。

「だって先輩とずっと一緒に居たいから、離れ離れになりたくないから。」

そう泣きながら訴える私に先輩は辛そうな声で

「そんなことで俺は優奈から離れたりしないよ。これからも一緒にいようね」

その言葉に安心した私はまた涙が溢れてしまう。

「もう泣かない!俺は優奈の笑顔が一番好きだよ。」

そういい私のことをさっきよりも強い力で抱きしめてくれる。

笑顔が好きか、私のことが好きとは言ってくれないんだね。

でも私はどんな先輩も大好きだよ。

何があっても先輩から離れない。先輩さえそばにいてくれたら何もいらないよ。

愛してるよ。先輩。