喧嘩をする二人を止めていいのか、両手をおろおろしていると助け舟を出してくれる。だけど、その人の顔は覚えていても、名前は覚えていなかった。
「俺はね、古賀(こが)雅人(まさと)。二人のおもり役」
お守り役・・・。じゃあ、よくケンカを止めている人なのかな。
「あっ、雅人が抜け駆けしたよ」
「俺だって話そうとしてたのにさ」
　私と古賀くんが話していることに気が付いたのか、折宮さんが声を上げ、それに続く水嶋くん。
「喧嘩してたやつが悪い。実際、野々宮さん困ってただろ」
　古賀くんは、ため息をつく勢いで、話し出す。その様子がお兄ちゃんと弟と妹のように見えて、クスッと笑いこぼれた。
「おっ、笑ったね」
　古賀くんは、私の笑ったことに気づいた。またもや、子犬のように食いつく二人。
「もう一回、笑ってよ～」
「俺も見たい」