キミに告げる、そのときに

「わかったから。子供じゃないんだし、その手。どけてよ」
 ジッと見つめると、睨まないでよと肩をすくめて手をどけた。
「じゃ、明日の報告を楽しみにしてるよ」
 セイは、それだけ言い残して教室から出て行ってしまった。教室にいるのは私一人になった。桜はまだ咲いていた。だけど、ところどころに葉っぱが混じっている。
「葉桜か・・・」
 今日は、どれほどの花が散るんだろう。次、この教室に来る頃には桜は全て散っているんだろうか。サーと風が桜を、葉を揺らす。ここ数日、セイを話しているせいか一人だと何故か、つまらなくなる。案外、セイとの時間を楽しく思っている自分がいることに驚いた。まさか、あのセイといて楽しいと思っているなんて。