一度、深呼吸して番号が書いてある紙を見上げる。そこに自分の受験番号がないか。何度、何度確認しても私の受験番号は見当たらなかった。周りでは、喜びの声や鳴き声が聞こえてくる。そんな中、私は喜びでも悲しくて泣いているわけでもない。通いたくて受験した高校。なのに、なぜか安堵している自分がいることに、少し驚く。
「どうしたかったんだろう・・・」
 本当にどうしたかったらのだろう。私はこの高校に入りたかったのだろうか。それとも、通いたくなかったのだろうか。自分でもわからなくて戸惑っている。
 色々な感情が混ざり合うこの場で、私だけがポツンと心の行き場をなくしていたのだった。