夕方の六時を回り先輩が帰ってきた。声を掛けたけど「あとで」そう言って、そそくさと自分の部屋に入ってしまった。目も合わせてくれないなんて。嫌われるようなことしたかな。今までしつこいくらい振り回し、構ってきたのに、手のひらを返すように、冷たい態度を取られ、項垂れて隣の部屋に戻った。先輩のお兄さん方が使っていた部屋。もう、使わないから、ここを使うといいわ、そう言って、香苗さんが案内してくれた。
こんな僕の為に、新しい服がたくさん準備してあった。学校で使う物は、お姉ちゃんが手配してくれた宅配サービスの配達員がさっき届けてくれた。先輩に聞きたい事は山の様にあったのにな。そんな事を思っていると、コンコンと遠慮しがちにノックの音がした。
「真尋ちゃん、主人が帰ってきたわよ」
この家の家長である先輩のお父さんにはまだ一度も会った事がない。ちゃんと挨拶してお礼を言わないと。
「一緒に行こう」
廊下に出ると先輩が待っていてくれた。香苗さんの姿はすでになかった。
「母さんが言った事は本当だ。今日から、真尋の家はここだ。ご飯食べ終わったら、部屋に来い。ちゃんと説明するから」
先輩はぶっきらぼうに言うと、先に階段を下り、1階のリビングに向かって行った。
慌ててあとを追った。先輩のお父さんがどんな人か全然知らなくて、聞こうと思ったのに。逃げるようにそそくさと。一緒に行こうって言ってたのに、酷い。
やっぱり避けられてる。
僕、何もしてないよ。心当たりもーーあるのはあるけど。それとこれとは関係ないと思う。
先輩のあとを追って下のリビングに向かうと、そこで僕を待っていたのは………。
学園長先生とそれに購買部のおばちゃんまで。何で二人がここにいるんですか?
先輩と出会う前、一人でいる事が多かった僕を何かと気にかけて声を掛けてくれたのが学園長先生と購買部のおばちゃんだった。
「俺の父と、祖母だ」
先輩に紹介され、腰を抜かすほど吃驚仰天した。足に力が入らなくて、その場にへたり込んでしまった。学園長先生に今まで散々失礼な態度をとっていたから尚更。購買部のおばちゃんにも何度も無視した事があるから。青ざめた。
「おい、大丈夫か⁉」
先輩に体を支えてもらい何とか起き上がりソファーへと腰を下ろした。
「学園長の名前を見たら、だいたい予想つくだろう」
名前までいちいち見ていないもの。首を横に振った。
「だろうな。あんな変なのにご執心でまわりなんて見てる暇ないものな」
ちょっと先輩!むすっとして睨み付けると、
購買部のおばちゃんが、ほほほと、これまた上品に笑いだした。
「喧嘩するほど仲がいいっていうのよ。あなたの事を香苗さんが、真尋ちゃんって呼んでいるみたいだから、私たちもそう呼ぶわね」
学園長先生もニコニコしていた。
「入学願書で君の名前を見付けた時、息子と同姓同名なのも何かの縁かと思ってね。真尋からきみのことをいろいろと聞いているうち、うちで引き取るのが一番いいと判断した。養子縁組の緒手続きは弁護士に一任してある」
上手く状況を呑み込めなかった。話しに付いていけない。混乱する僕に先輩が優しく微笑みかけてくれた。
「難しいことを考える必要はない。うちの家族は、真尋の味方だ」
彼の大きな掌が僕の両手をそっと包み込んでくれた。ビックリして顔を上げると自然と目が合った。ぞくっとするくらい精悍な眼差しで見詰められ、体が火照り始めた。ドキドキが止まらなかった。
こんな僕の為に、新しい服がたくさん準備してあった。学校で使う物は、お姉ちゃんが手配してくれた宅配サービスの配達員がさっき届けてくれた。先輩に聞きたい事は山の様にあったのにな。そんな事を思っていると、コンコンと遠慮しがちにノックの音がした。
「真尋ちゃん、主人が帰ってきたわよ」
この家の家長である先輩のお父さんにはまだ一度も会った事がない。ちゃんと挨拶してお礼を言わないと。
「一緒に行こう」
廊下に出ると先輩が待っていてくれた。香苗さんの姿はすでになかった。
「母さんが言った事は本当だ。今日から、真尋の家はここだ。ご飯食べ終わったら、部屋に来い。ちゃんと説明するから」
先輩はぶっきらぼうに言うと、先に階段を下り、1階のリビングに向かって行った。
慌ててあとを追った。先輩のお父さんがどんな人か全然知らなくて、聞こうと思ったのに。逃げるようにそそくさと。一緒に行こうって言ってたのに、酷い。
やっぱり避けられてる。
僕、何もしてないよ。心当たりもーーあるのはあるけど。それとこれとは関係ないと思う。
先輩のあとを追って下のリビングに向かうと、そこで僕を待っていたのは………。
学園長先生とそれに購買部のおばちゃんまで。何で二人がここにいるんですか?
先輩と出会う前、一人でいる事が多かった僕を何かと気にかけて声を掛けてくれたのが学園長先生と購買部のおばちゃんだった。
「俺の父と、祖母だ」
先輩に紹介され、腰を抜かすほど吃驚仰天した。足に力が入らなくて、その場にへたり込んでしまった。学園長先生に今まで散々失礼な態度をとっていたから尚更。購買部のおばちゃんにも何度も無視した事があるから。青ざめた。
「おい、大丈夫か⁉」
先輩に体を支えてもらい何とか起き上がりソファーへと腰を下ろした。
「学園長の名前を見たら、だいたい予想つくだろう」
名前までいちいち見ていないもの。首を横に振った。
「だろうな。あんな変なのにご執心でまわりなんて見てる暇ないものな」
ちょっと先輩!むすっとして睨み付けると、
購買部のおばちゃんが、ほほほと、これまた上品に笑いだした。
「喧嘩するほど仲がいいっていうのよ。あなたの事を香苗さんが、真尋ちゃんって呼んでいるみたいだから、私たちもそう呼ぶわね」
学園長先生もニコニコしていた。
「入学願書で君の名前を見付けた時、息子と同姓同名なのも何かの縁かと思ってね。真尋からきみのことをいろいろと聞いているうち、うちで引き取るのが一番いいと判断した。養子縁組の緒手続きは弁護士に一任してある」
上手く状況を呑み込めなかった。話しに付いていけない。混乱する僕に先輩が優しく微笑みかけてくれた。
「難しいことを考える必要はない。うちの家族は、真尋の味方だ」
彼の大きな掌が僕の両手をそっと包み込んでくれた。ビックリして顔を上げると自然と目が合った。ぞくっとするくらい精悍な眼差しで見詰められ、体が火照り始めた。ドキドキが止まらなかった。
