「このクラスに、『ひろせまひろ』がいるって聞いたんだけど」
昼休みを知らせるチャイムが鳴ると同時にガラッと扉が開いて、どかどかと5人組の男子生徒が入ってきた。真ん中のポジションにいる生徒と詰襟の赤バッチを見て一同騒然となった。
女子は全員、きゃぁー-っ!と黄色い悲鳴を上げ、目をきらきらと輝かせ、僕の方に一斉に視線を向けてきたんだと思う。
ごめんなさい。心、ここにあらずで。有馬さんとの初めてのデートの事で頭がいっぱいだった。だからこれだけ、クラス中が大騒ぎになっているにも関わらず、まさか、自分の事を言われているなど露知らず。僕は机に頬杖をつきぼんやりと窓の外の景色を眺めていた。
「真尋……おい、……真尋!!」
隣の席の林くんに肩を強く揺すられてようやく我に返った。
『どうしたの?』
首を傾げて、立てた人差し指を左右に振った。
「どうしたの……じゃねぇよ。3年の、ほら、真尋と同姓同名の、前の生徒会長が真尋に会いに来てんだよ。もしかして知らないとか?」
うん、大きく頷くと、
「あのな……」
林くん、呆れてとても大きい溜息を吐いていた。
「お前が、もう一人の俺か」
肩を軽く揺すられてドキッとして見上げると、すらりとした長身の同姓同名の先輩がむすっとした表情で突っ立っていた。有馬さんと同じくらいの背の高さかも。精悍な顔つきは、有馬さんみたく男らしくてカッコ良かった。
でも、有馬さんとは雲泥の差。
彼の方が、100パーカッコいいし‼
そっちが、むすっとしてるなら、僕も。
いくら年上とはいえ初めて会うのにその態度は幾らなんでも失礼だと思う。
くすっと、形の整った口角が緩んだように見えた。
「お前、なかなか面白いな。よし、気に入った‼ちょっと、付き合え‼」
先輩に手首をガバッと鷲掴まれて椅子から引きずり出されると、そのまま、ズルズルと引っ張られ、どっかに向かって歩き出した。声を上げようとしたけど、じろりと他の四人の先輩たちに睨まれ声さえ出せなかった。
廊下に溢れる生徒達の波を掻き分け、好奇の目に晒されながら、先輩たちに有無をいわさず連れていかれた。
昼休みを知らせるチャイムが鳴ると同時にガラッと扉が開いて、どかどかと5人組の男子生徒が入ってきた。真ん中のポジションにいる生徒と詰襟の赤バッチを見て一同騒然となった。
女子は全員、きゃぁー-っ!と黄色い悲鳴を上げ、目をきらきらと輝かせ、僕の方に一斉に視線を向けてきたんだと思う。
ごめんなさい。心、ここにあらずで。有馬さんとの初めてのデートの事で頭がいっぱいだった。だからこれだけ、クラス中が大騒ぎになっているにも関わらず、まさか、自分の事を言われているなど露知らず。僕は机に頬杖をつきぼんやりと窓の外の景色を眺めていた。
「真尋……おい、……真尋!!」
隣の席の林くんに肩を強く揺すられてようやく我に返った。
『どうしたの?』
首を傾げて、立てた人差し指を左右に振った。
「どうしたの……じゃねぇよ。3年の、ほら、真尋と同姓同名の、前の生徒会長が真尋に会いに来てんだよ。もしかして知らないとか?」
うん、大きく頷くと、
「あのな……」
林くん、呆れてとても大きい溜息を吐いていた。
「お前が、もう一人の俺か」
肩を軽く揺すられてドキッとして見上げると、すらりとした長身の同姓同名の先輩がむすっとした表情で突っ立っていた。有馬さんと同じくらいの背の高さかも。精悍な顔つきは、有馬さんみたく男らしくてカッコ良かった。
でも、有馬さんとは雲泥の差。
彼の方が、100パーカッコいいし‼
そっちが、むすっとしてるなら、僕も。
いくら年上とはいえ初めて会うのにその態度は幾らなんでも失礼だと思う。
くすっと、形の整った口角が緩んだように見えた。
「お前、なかなか面白いな。よし、気に入った‼ちょっと、付き合え‼」
先輩に手首をガバッと鷲掴まれて椅子から引きずり出されると、そのまま、ズルズルと引っ張られ、どっかに向かって歩き出した。声を上げようとしたけど、じろりと他の四人の先輩たちに睨まれ声さえ出せなかった。
廊下に溢れる生徒達の波を掻き分け、好奇の目に晒されながら、先輩たちに有無をいわさず連れていかれた。
