「西窪くん、大塚くん!」
休み時間、突然先生に呼ばれた。隣のヤツ…西窪はスマホを弄っていたようだが。何かを察し、ため息をつきながら席を立った。
僕も話していた人達に背中を押され教卓へ向かう。
「西窪くん、大塚くんにこの学校のこと案内してあげて?」
「嫌です。」
即答する西窪になんでだよ。と突っ込んでやりたかったが抑えた。
「まぁまぁ、仲良くなるためにってことで!お願いね。」
少し強引な先生だ。そして西窪はとてつもなく嫌そうな顔をしている。僕だって別に頼んで案内してもらうわけじゃない。
西窪の態度にムカつきながらもなんかごめんねと謝り2人で教室を出た。

西窪は俺の前を歩きながら一つ一つの教室を説明してくれる。嫌そうな顔のもののご丁寧に別校舎まで案内してくれた。
別校舎にはほとんど人はいなかった。使うことは少ないようだ。
西窪は歴史資料室と書かれた教室に入ると椅子に座った。
全く自分勝手だと思っていた矢先、西窪は俺にこう一言。
「俺、お前のこと嫌いだから。」
「は…?」
いきなりなんだよ。初対面に言う言葉かよ。と喉まで出てきた言葉をグッと呑みこんだ。
「なんで…?」
「キャラ作ってるだろ。それ。いかにもキャピキャピして誰でも大歓迎!友達になりましょー!みたいな顔してるから。」
ムカつくけど全部あっている。キャラ作りくらい誰でもするだろと思いながら僕も言い返してやった。
「そうかもしれないね?でも安心して。僕も君のこと嫌いだから。そーいう自分の世界しか見えてない人!」
そう言い捨てて僕は1人で自分の教室に帰った。


放課後、入ると決めていた写真部に入部届けを提出した。鶴ケ谷部長が入部届けを受け取ってくれた。ものすごく熱い男でなぜ写真部なんかに入っているのか理解ができない
「大塚真紘です!よろしくお願いします!」
休み時間の西窪の言葉が脳裏によぎったが
朝と同じように大きな声で挨拶をした。
「大塚くんは声がよく通るな!よく写真部に来てくれた!今日からよろしく頼んだぞ!」
と鶴ケ谷部長が話しかけてくれた。声の大きさに少し驚いたが良い人そうだ。
「写真部の活動日は水曜日だ!水曜日にお互いの撮った写真を見せ合い鑑賞する!それまでに自分のお気に入りの写真を印刷してきてくれ!」
と部活紹介をしてもらった。今日は金曜。
休日含め4日間で写真を撮ってくればいいようだ。
「カメラは持参のものを使ってもらっても良いが学校の物もあるから必要なら教えてくれ!」
「それでは俺はこれで失礼する!」
バタンッと鶴ケ谷部長は部室から去った。部屋の中にまだ鶴ケ谷部長の声が響いているようだ。