定期的にガタガタと揺れる電車のボックス席に助けられた男の子と向かい合って私は座っていた。
男の子の隣の席にはリュックサック、床にはキャリーケースが置かれている。長い間、旅でもしてきたのだろうか。助けた時の口ぶりからこの男の子も何かから逃げているに違いないのだろうけれど。
特に目的地があるわけではなく、次にやってきた電車にただ乗っただけだったが、何となく南下してこの県の中で一番大きな街に向かっていた。
向かいの男の子は器用に窓枠の少しの出っ張りに肘を乗せて頬杖して窓の外を見ていて話そうとしない。そんな体制、逆に疲れるだろうに。まるで私が話し始めるのを待っているようだったし、そうではなく単に空気扱いしているようでもあった。
だんだんとこの沈黙に耐えられなくなる。
「私、ミチルって言うの。鳥井未知留。貴方の名前は?」
そう、まだ名前すら知らないのだ。自分から言うのが礼儀だと思って名乗ってみてから訊ねてみる。
「……俺は、青木、智留二」
青木は私の顔も見ずに答えた。やっぱり鬱陶しいのだろうか。それなら――。
「どうして私を助けたの?」
「それは……死のうとしている人が居たら止めるのが普通だろ?」
若干言い淀んだような気がした。それに答えになっているようでなってない。
「幾つ?」
「十七歳」
「それなら私よりひとつ年上だね」
その言葉に男の子……青木も驚いているようであった。
「そうなのか、てっきり……」
「てっきり何?同い年かと思った?」
年下でごめんなさいね。年上の方が好みだったかしら?まぁ、よく大人っぽいとは言われるんだけどね。
青木は頬杖を止めてやっと私と向き合った。
「逆に聞くけど、なんで、死のうと思ったんだ?」
「虐められてたの。学校で」
青木は目を見開いてマジマジと私の顔を見てくる。驚いているみたい。どうやらやっと私に興味を持ったみたいだ。
「聞きたい?私の話?」
青木の顔は縦に振られたようでもあったし、そうでもなかったような感じだった。要するにどちらか判断出来ないくらいにしか顔を動かなさなかったのである。
なら、勝手に話し始めてもいいだろう。そう、あれは私が高校に入学した時から始まっていたのだ。
男の子の隣の席にはリュックサック、床にはキャリーケースが置かれている。長い間、旅でもしてきたのだろうか。助けた時の口ぶりからこの男の子も何かから逃げているに違いないのだろうけれど。
特に目的地があるわけではなく、次にやってきた電車にただ乗っただけだったが、何となく南下してこの県の中で一番大きな街に向かっていた。
向かいの男の子は器用に窓枠の少しの出っ張りに肘を乗せて頬杖して窓の外を見ていて話そうとしない。そんな体制、逆に疲れるだろうに。まるで私が話し始めるのを待っているようだったし、そうではなく単に空気扱いしているようでもあった。
だんだんとこの沈黙に耐えられなくなる。
「私、ミチルって言うの。鳥井未知留。貴方の名前は?」
そう、まだ名前すら知らないのだ。自分から言うのが礼儀だと思って名乗ってみてから訊ねてみる。
「……俺は、青木、智留二」
青木は私の顔も見ずに答えた。やっぱり鬱陶しいのだろうか。それなら――。
「どうして私を助けたの?」
「それは……死のうとしている人が居たら止めるのが普通だろ?」
若干言い淀んだような気がした。それに答えになっているようでなってない。
「幾つ?」
「十七歳」
「それなら私よりひとつ年上だね」
その言葉に男の子……青木も驚いているようであった。
「そうなのか、てっきり……」
「てっきり何?同い年かと思った?」
年下でごめんなさいね。年上の方が好みだったかしら?まぁ、よく大人っぽいとは言われるんだけどね。
青木は頬杖を止めてやっと私と向き合った。
「逆に聞くけど、なんで、死のうと思ったんだ?」
「虐められてたの。学校で」
青木は目を見開いてマジマジと私の顔を見てくる。驚いているみたい。どうやらやっと私に興味を持ったみたいだ。
「聞きたい?私の話?」
青木の顔は縦に振られたようでもあったし、そうでもなかったような感じだった。要するにどちらか判断出来ないくらいにしか顔を動かなさなかったのである。
なら、勝手に話し始めてもいいだろう。そう、あれは私が高校に入学した時から始まっていたのだ。

