—1—
西エリアから北エリアに向かう赤髪の剣士。
氷堂、クロムと立て続けに強敵を相手にしたことですでに身も心もボロボロになっていた。
戦っている最中はアドレナリンが分泌されていたおかげで何とか対応できていたが、テントで一夜を明かした今、千炎寺の体には強烈な筋肉痛という形で跳ね返ってきていた。
滅多に使わない筋肉をフルで動かしたのだ。
これくらいの反動で済んでいるだけ幸運だと言える。
千炎寺はこの集団序列戦で父親である正嗣を倒すことを目標として掲げていた。
だが、昨日無名ななしと対峙して思った。
同学年の無名に恐怖心を覚えているようではまだ親父を超えることはできない、と。
だからと言って千炎寺が悲観的になることはなかった。
むしろ以前にも増して内側に灯った炎が燃え上がっていた。
超えなければならない相手が1人増えたに過ぎない。
強敵は多ければ多いほど燃え上がるもの。
幼少期、実家の道場に押し掛けた剣士達と刃を交え続けた日々を送った千炎寺にとって、強敵の出現はモチベーションの起爆剤にすらなっていた。
「遅かれ早かれぶつかるって言うなら早い方がいい」
得点上位者の千炎寺と無名は共にGPSで居場所が筒抜けとなっている。
進行方向上に無名がいることがわかっている以上、無理な戦闘は避けようと思えば避けられるが千炎寺はあえて戦うことを選択した。
1度燃え上がった炎を消すことは誰にもできない。
「おや、昨日は尻尾を巻いて逃げたのにどういう風の吹き回しですか?」
北エリアまで目と鼻の先という所で無名が静かに佇んでいた。
スマホを見て千炎寺が来ることを確認していたのかあまり驚いた様子はない。
「無名、お前は一体何者なんだ? 教師と組んでるのか?」
無名の挑発には乗らず、疑問に思っていたことを口にする千炎寺。
不意打ちを警戒して緋鉄の腹で校章を守ることも忘れない。
「教師と組んでいるなどという事実はありません。ボクが何者なのかという点については残念ながらボクにもわかりません」
「なにッ!?」
腰のホルダーから剣を抜き、ビームソードで斬り掛かる無名。
瞬時に千炎寺も緋鉄をビームソードに重ねるが、肩が抜けるかと思うほどの衝撃が襲い、弾き飛ばされてしまう。
地面に2度バウンドし、受け身を取って立ち上がる。
「くっ、体格に見合わない威力だな。神楽坂といい、敷島といい、実力を隠すのが最近の流行りなのか?」
千炎寺は間合いを削りながら緋鉄に炎を纏い、緋炎へと昇華させた。
神楽坂は無名の実力を暗空と並ぶかそれ以上と評価していた。
1度刃を交わしてその言葉の意味を理解した。
クロムと比べて体格差はあるが、無名の剣捌きは力の伝え方が上手いといったイメージだ。
力任せに振るうクロムに対して、要点を絞ってインパクトの瞬間に100パーセントの力が伝わるように計算されている。
それでいて間合いの取り方、身のこなしなど、一挙手一投足が機械のように正確だ。
一撃目から二撃目への攻撃の移りが滑らかで反撃しようにもその機会が訪れない。
必然的に千炎寺が防御に回る展開となった。
上段から斬り掛かる無名に対してバックステップで距離を取る千炎寺。
だが、千炎寺の動きを読んでいた無名は地面を蹴り、懐に飛び込んでくる。
そして、再びビームソードを上段から振り下ろす。
「ぐっ……」
緋炎を頭上に振り上げ、歯を食い縛ることでなんとか堪える千炎寺。
しかし、無名の攻撃はこれだけでは終わらない。
左手を腰のホルダーに掛けてレーザー銃を取り出し、千炎寺の腹目掛けて発砲した。
「くそッ!!」
緋炎を手放し、急速に回転しながら横に跳ぶことで直撃を間逃れた。
ように見えたが、僅かに腹に掠めてしまった。
人間離れした反射神経だったことは間違いないが、まだ無名が一枚上手だ。
「今ので仕留めたかと思いましたが、特待生クラスとなるとレーザー銃への対応も可能みたいですね」
感情のこもっていない声でそう口にする無名。
左手で脇腹を押さえる千炎寺に向かって容赦無くレーザー銃を連射する。
左肩、右腕、左足。
千炎寺もレーザーの雨から抜けようと必死に抵抗するが、その全てを回避することは叶わない。
木を利用して死角に入ろうと試みるが、ビームソードとレーザー銃を駆使する無名の攻撃有効範囲からは逃れられない。
「全く、熱いなこれは」
息を切らし、木に手をつく千炎寺。
レーザー銃を受けた傷口から血が流れ、制服に滲んでいる。
ドクターストップが掛かってもおかしくないほどの傷を負っているというのに千炎寺の双眸は赤く輝き、口角が上がっていた。
荒い呼吸に合わせて体から湯気が上がる。
まるでマグマが湧き上がるかのように体内が熱い。
熱さで呼吸もままならないはずなのになぜだか心地良い。
千炎寺は不思議な感覚に襲われていた。
異能力は体力と同じように使えば使うほど、エネルギーが消費されていく。
当然のことだがエネルギーが切れてしまったら技が発動できない。最悪、気を失うこともある。
強者を相手にし続けている千炎寺ももうほとんど余力が無い状況だ。
「今ならいける」
そう呟いた千炎寺の体を炎が纏う。
手に刀は持っていない。両方の拳を握り締め、鋭い眼光で無名を捉える。
異能力のエネルギー量が限界に近づいたときにしか使えない千炎寺の新技。
「異能力を磨くことだけに時間を使え」。父に口酸っぱく言われ続けた千炎寺が出した1つの答え。
剣術を磨いてきた千炎寺にとってまだ武術は未完成かもしれない。
しかし、今は持ち前のセンスでカバーする。
「紅炎武装」
全身を灼熱の炎が包み込む。
エネルギー切れまでという制限時間付きだが、『紅炎武装』発動中はあらゆるパラメーターが上昇する。
氷堂の奥の手である『氷狼騎士』に近い。
「体に負荷を掛け過ぎでは無いですか?」
「舐めるなッ」
無名が放ったレーザー銃の銃弾を炎を纏った拳で相殺する。
地面を駆ければ炎が千炎寺の背中を押し、神速の速さとなる。
無名はレーザー銃を腰のホルダーに戻し、殴り掛かってきた千炎寺の拳に自身の拳を重ねた。
凄まじい衝撃に空気が裂けるように震える。
すぐさま右腕を引き、二撃目を放つ千炎寺。
目で追うのもやっとという素早い突きだが、無名はこれに対しても難無く合わせてきた。
ならばと、左足を軸にして時計回りに高速で回転。
そこから胸を突き上げるように強烈な蹴りを放つ。
無名は咄嗟に両腕をクロスさせて防いだ。
拳と蹴りの激しいラリーが繰り返される。
初めは千炎寺の攻撃を防いでいた無名だったが、回数を重ねるごとに千炎寺のキレが増し、追いつけなくなってきた。
『紅炎武装』は限界に近づくほど威力が上がる。
裏を返せば千炎寺の限界が近いことを表している。
千炎寺が炎の息を漏らし、時折白目を剥きながら拳を振るう。
意識が朦朧としている中でも目の前の敵を打ち倒す手だけは緩めない。
自分のプライドが、誇りが身体を突き動かす。
「おらぁッ!」
千炎寺が繰り出した回し蹴りは無名の左腕でガードされてしまう。
が、最大火力を迎えた千炎寺の前では防御などあって無いに等しい。耳を裂くような爆発音と共に無名の身体ごと吹き飛ばした。
「……予定外の事態に陥りました。これが人の進化ですか」
ビームソードとレーザー銃を手にした無名は木の間を縫うように走り出した。
その後を千炎寺が追う。
無名はビームソードを地面に引きずりながら走ることで砂を巻き上げ、追ってくる千炎寺の視界を奪おうとする。
当然、今の千炎寺にはあまり効果は望めない。
だが、全く効果がないわけではない。多少なりとも気を逸らさせることはできる。
みるみる2人の距離が縮まる中で無名はタイミングを見て横に跳ぶようにして90度方向を変えると、木の影で一瞬千炎寺の視界から外れた。
全力で走って生み出せた時間は僅かに2秒。
無名はレーザー銃を千炎寺が来るであろう方角に向けたまま静止した。
そこに追いついた千炎寺が飛び出してくる。
銃を向けられていることを確認した千炎寺は体に纏っていた炎を右の拳に集約し、無名に殴り掛かる。
正真正銘、これが最後の一撃だ。
「炎拳打破ッ!」
全体重を乗せた拳が遂に無名を捉える。
轟音と共に左右に炎が広がり、触れたモノ全てを焼き尽くす勢いで火炎が噴き荒れる。
千炎寺が放った炎がバチバチと何かを燃やしている音が鳴り響く。
それはまるで木を燃やしている音に似ていた。
「嘘だろ?」
火が収まり始めたことで視界がクリアになる。
千炎寺は目を疑った。
『炎拳打破』で捉えたのは無名では無かった。
無名と千炎寺の間に生えている大木に大きな風穴が開いていた。
大木が激しく燃えていて、頭上から炭となった枝が降ってくる。
「必ずしも見えているモノだけが真実とは限りません。戦闘中は見えないモノにも意識を傾けなくては負けてしまいますよ」
大木の反対側に立つ無名がレーザー銃の引き金を引いた。
すでに力を使い果たした千炎寺がこれを防ぐ術はない。
校章が砕け飛び、千炎寺は気を失った。
西エリアから北エリアに向かう赤髪の剣士。
氷堂、クロムと立て続けに強敵を相手にしたことですでに身も心もボロボロになっていた。
戦っている最中はアドレナリンが分泌されていたおかげで何とか対応できていたが、テントで一夜を明かした今、千炎寺の体には強烈な筋肉痛という形で跳ね返ってきていた。
滅多に使わない筋肉をフルで動かしたのだ。
これくらいの反動で済んでいるだけ幸運だと言える。
千炎寺はこの集団序列戦で父親である正嗣を倒すことを目標として掲げていた。
だが、昨日無名ななしと対峙して思った。
同学年の無名に恐怖心を覚えているようではまだ親父を超えることはできない、と。
だからと言って千炎寺が悲観的になることはなかった。
むしろ以前にも増して内側に灯った炎が燃え上がっていた。
超えなければならない相手が1人増えたに過ぎない。
強敵は多ければ多いほど燃え上がるもの。
幼少期、実家の道場に押し掛けた剣士達と刃を交え続けた日々を送った千炎寺にとって、強敵の出現はモチベーションの起爆剤にすらなっていた。
「遅かれ早かれぶつかるって言うなら早い方がいい」
得点上位者の千炎寺と無名は共にGPSで居場所が筒抜けとなっている。
進行方向上に無名がいることがわかっている以上、無理な戦闘は避けようと思えば避けられるが千炎寺はあえて戦うことを選択した。
1度燃え上がった炎を消すことは誰にもできない。
「おや、昨日は尻尾を巻いて逃げたのにどういう風の吹き回しですか?」
北エリアまで目と鼻の先という所で無名が静かに佇んでいた。
スマホを見て千炎寺が来ることを確認していたのかあまり驚いた様子はない。
「無名、お前は一体何者なんだ? 教師と組んでるのか?」
無名の挑発には乗らず、疑問に思っていたことを口にする千炎寺。
不意打ちを警戒して緋鉄の腹で校章を守ることも忘れない。
「教師と組んでいるなどという事実はありません。ボクが何者なのかという点については残念ながらボクにもわかりません」
「なにッ!?」
腰のホルダーから剣を抜き、ビームソードで斬り掛かる無名。
瞬時に千炎寺も緋鉄をビームソードに重ねるが、肩が抜けるかと思うほどの衝撃が襲い、弾き飛ばされてしまう。
地面に2度バウンドし、受け身を取って立ち上がる。
「くっ、体格に見合わない威力だな。神楽坂といい、敷島といい、実力を隠すのが最近の流行りなのか?」
千炎寺は間合いを削りながら緋鉄に炎を纏い、緋炎へと昇華させた。
神楽坂は無名の実力を暗空と並ぶかそれ以上と評価していた。
1度刃を交わしてその言葉の意味を理解した。
クロムと比べて体格差はあるが、無名の剣捌きは力の伝え方が上手いといったイメージだ。
力任せに振るうクロムに対して、要点を絞ってインパクトの瞬間に100パーセントの力が伝わるように計算されている。
それでいて間合いの取り方、身のこなしなど、一挙手一投足が機械のように正確だ。
一撃目から二撃目への攻撃の移りが滑らかで反撃しようにもその機会が訪れない。
必然的に千炎寺が防御に回る展開となった。
上段から斬り掛かる無名に対してバックステップで距離を取る千炎寺。
だが、千炎寺の動きを読んでいた無名は地面を蹴り、懐に飛び込んでくる。
そして、再びビームソードを上段から振り下ろす。
「ぐっ……」
緋炎を頭上に振り上げ、歯を食い縛ることでなんとか堪える千炎寺。
しかし、無名の攻撃はこれだけでは終わらない。
左手を腰のホルダーに掛けてレーザー銃を取り出し、千炎寺の腹目掛けて発砲した。
「くそッ!!」
緋炎を手放し、急速に回転しながら横に跳ぶことで直撃を間逃れた。
ように見えたが、僅かに腹に掠めてしまった。
人間離れした反射神経だったことは間違いないが、まだ無名が一枚上手だ。
「今ので仕留めたかと思いましたが、特待生クラスとなるとレーザー銃への対応も可能みたいですね」
感情のこもっていない声でそう口にする無名。
左手で脇腹を押さえる千炎寺に向かって容赦無くレーザー銃を連射する。
左肩、右腕、左足。
千炎寺もレーザーの雨から抜けようと必死に抵抗するが、その全てを回避することは叶わない。
木を利用して死角に入ろうと試みるが、ビームソードとレーザー銃を駆使する無名の攻撃有効範囲からは逃れられない。
「全く、熱いなこれは」
息を切らし、木に手をつく千炎寺。
レーザー銃を受けた傷口から血が流れ、制服に滲んでいる。
ドクターストップが掛かってもおかしくないほどの傷を負っているというのに千炎寺の双眸は赤く輝き、口角が上がっていた。
荒い呼吸に合わせて体から湯気が上がる。
まるでマグマが湧き上がるかのように体内が熱い。
熱さで呼吸もままならないはずなのになぜだか心地良い。
千炎寺は不思議な感覚に襲われていた。
異能力は体力と同じように使えば使うほど、エネルギーが消費されていく。
当然のことだがエネルギーが切れてしまったら技が発動できない。最悪、気を失うこともある。
強者を相手にし続けている千炎寺ももうほとんど余力が無い状況だ。
「今ならいける」
そう呟いた千炎寺の体を炎が纏う。
手に刀は持っていない。両方の拳を握り締め、鋭い眼光で無名を捉える。
異能力のエネルギー量が限界に近づいたときにしか使えない千炎寺の新技。
「異能力を磨くことだけに時間を使え」。父に口酸っぱく言われ続けた千炎寺が出した1つの答え。
剣術を磨いてきた千炎寺にとってまだ武術は未完成かもしれない。
しかし、今は持ち前のセンスでカバーする。
「紅炎武装」
全身を灼熱の炎が包み込む。
エネルギー切れまでという制限時間付きだが、『紅炎武装』発動中はあらゆるパラメーターが上昇する。
氷堂の奥の手である『氷狼騎士』に近い。
「体に負荷を掛け過ぎでは無いですか?」
「舐めるなッ」
無名が放ったレーザー銃の銃弾を炎を纏った拳で相殺する。
地面を駆ければ炎が千炎寺の背中を押し、神速の速さとなる。
無名はレーザー銃を腰のホルダーに戻し、殴り掛かってきた千炎寺の拳に自身の拳を重ねた。
凄まじい衝撃に空気が裂けるように震える。
すぐさま右腕を引き、二撃目を放つ千炎寺。
目で追うのもやっとという素早い突きだが、無名はこれに対しても難無く合わせてきた。
ならばと、左足を軸にして時計回りに高速で回転。
そこから胸を突き上げるように強烈な蹴りを放つ。
無名は咄嗟に両腕をクロスさせて防いだ。
拳と蹴りの激しいラリーが繰り返される。
初めは千炎寺の攻撃を防いでいた無名だったが、回数を重ねるごとに千炎寺のキレが増し、追いつけなくなってきた。
『紅炎武装』は限界に近づくほど威力が上がる。
裏を返せば千炎寺の限界が近いことを表している。
千炎寺が炎の息を漏らし、時折白目を剥きながら拳を振るう。
意識が朦朧としている中でも目の前の敵を打ち倒す手だけは緩めない。
自分のプライドが、誇りが身体を突き動かす。
「おらぁッ!」
千炎寺が繰り出した回し蹴りは無名の左腕でガードされてしまう。
が、最大火力を迎えた千炎寺の前では防御などあって無いに等しい。耳を裂くような爆発音と共に無名の身体ごと吹き飛ばした。
「……予定外の事態に陥りました。これが人の進化ですか」
ビームソードとレーザー銃を手にした無名は木の間を縫うように走り出した。
その後を千炎寺が追う。
無名はビームソードを地面に引きずりながら走ることで砂を巻き上げ、追ってくる千炎寺の視界を奪おうとする。
当然、今の千炎寺にはあまり効果は望めない。
だが、全く効果がないわけではない。多少なりとも気を逸らさせることはできる。
みるみる2人の距離が縮まる中で無名はタイミングを見て横に跳ぶようにして90度方向を変えると、木の影で一瞬千炎寺の視界から外れた。
全力で走って生み出せた時間は僅かに2秒。
無名はレーザー銃を千炎寺が来るであろう方角に向けたまま静止した。
そこに追いついた千炎寺が飛び出してくる。
銃を向けられていることを確認した千炎寺は体に纏っていた炎を右の拳に集約し、無名に殴り掛かる。
正真正銘、これが最後の一撃だ。
「炎拳打破ッ!」
全体重を乗せた拳が遂に無名を捉える。
轟音と共に左右に炎が広がり、触れたモノ全てを焼き尽くす勢いで火炎が噴き荒れる。
千炎寺が放った炎がバチバチと何かを燃やしている音が鳴り響く。
それはまるで木を燃やしている音に似ていた。
「嘘だろ?」
火が収まり始めたことで視界がクリアになる。
千炎寺は目を疑った。
『炎拳打破』で捉えたのは無名では無かった。
無名と千炎寺の間に生えている大木に大きな風穴が開いていた。
大木が激しく燃えていて、頭上から炭となった枝が降ってくる。
「必ずしも見えているモノだけが真実とは限りません。戦闘中は見えないモノにも意識を傾けなくては負けてしまいますよ」
大木の反対側に立つ無名がレーザー銃の引き金を引いた。
すでに力を使い果たした千炎寺がこれを防ぐ術はない。
校章が砕け飛び、千炎寺は気を失った。



