俺の視線は無数の紙の花で囲まれたアーチに向けられている。
足の怪我により、せっかく手伝いとして頑張ったスポーツ大会を全く楽しめなくなってしまった。そして、俺は本部の椅子に座り、得点集計係の手伝いに回ることになった。けど……
「これで合法的に先輩と一緒にいられますね」
俺の隣には神原くんがいる。
「神原くんはどうしたの? 競技、終わったの?」
「はい。砲丸投げに出たのですが決勝戦には出ないので応援側です」
砲丸投げ、と彼は言う。二日間に渡って行われるスポーツ大会はそれぞれの出る競技に負ければ手持ち無沙汰になってしまう。
「これで、先輩と一緒にいられますね」
隣に神原くんがいる。
「先輩、俺も手伝いますよ。得点係、集計が結構面倒って言うじゃないですか」
「うん、じゃあ、お願い、しようかな……」
競技だから、これはこれでちょっとそれは嬉しいかもしれない。なんてことを思ってしまった。
―――
ようやく、俺の足の怪我も完治して、普通の生活を送ることが出来ていた。放課後、俺は、神原くんとデートのやり直しをすることになっていた。
「悪い、これからちょっと超大事な予定あってさー! 次はいけるはず!」
「デートか?」
「そ!」
「おっけー、行って来い!」
そして、俺は教室を出る。教室のそばで待っていた神原くんの元へと走って向かっていった。


