「はあ!? これは乙女ゲームじゃねえっつうの! 女性向けゲームを全部乙女ゲームにひと括りにするのやめろよ。これだから男オタクは!」
ベッドで転がってSNSで今やっているソシャゲの情報収集をしていたところで出会った記事に、私はぶち切れた。
今やっているソシャゲはヒーロー物であり、プレイヤーはヒーローのサポーターとして応援しながら登場人物であるヒーローたちのヒーロー活動を見守るというものだ。
はっきり言って、サポーターは影や壁となって見守りたいというほどに、ヒーロー同士のクソデカ感情が強い。それに悦に入っているんだけれど、どうにも男オタクは「つまりはヒーローに恋したいんだね?」と思いたいらしい。
違うわ。こちとらヒーロー同士がいちゃついているのを見守りたいのであって、自分がヒーローといちゃつきたいんじゃねえんだわ。
この手の記事は炎上効果で読まれやすいから、すぐ人がキレるワードを仕込むんだろうけれど、こっちだって安易に触れていいことと悪いことがあるんだ。いい加減にしてほしい。
私はぶち切れながら、思わず書き込んだ。
【まじムカつくんですけど! このゲームは乙女ゲームじゃないのにすぐ乙女ゲーム扱いして!】
ポチッと書き込んだところ、誰かからコメントが飛んできた。
誰だろ。私は見知らぬアイコンのコメントを覗き込んだ。
【いや、これ腐女子向けゲームでもないですよね? 普段から腐妄想ばかり見えて迷惑してるんですけど】
それに私はドッと体が熱を持つのがわかった。
女性向けゲームをプレイしているのは、なにも腐女子だけじゃない。それこそ私が「乙女ゲームじゃないし!」と切って捨てた乙女ゲームユーザーだってしているし、プレイヤーと登場キャラが恋するのを妄想している、いわゆる夢女子だっている訳だ。
夢女子というのは私の属性ではないけれど、その手の人に失礼しちゃったかな。コメントくれた人になんて返そうと思ってその人のプロフィールを見て、目が点になった。
【夢男子です。今はヒーローゲームしてます。仲良くしてください】
この人、いわゆる夢男子か。
夢男子。夢女子の男性版だけれど、なかなかカテゴライズが難しい存在だ。自分がプレイヤーとしてキャラと恋愛しているのを妄想しているのは、腐女子の男子版の腐男子になるのか、それとも恋愛好きになるのか、なかなかデリケート過ぎるのだ。
それにしても、私の普段の妄想が流れてたんだったらたしかに申し訳ないけれど。どうやってコメントしよう。
私は「うーんうーん」と悩んだ結果、コメントを打ち込んでみた。
【いや、腐妄想が流れてしまったのは謝ります。ごめんなさい。
ただ、乙女ゲームじゃないものを乙女ゲームじゃないと言うのは駄目なんですかね?】
打ち込んだら、すぐに返信が来た。この人打ち込み早いな。
【最近そうやってすぐ乙女ゲームプレイヤーいじめるの多いじゃないですか。
存在しない乙女ゲームのせいで、乙女ゲームは恋愛脳がするゲームみたいに馬鹿にして。
恋愛妄想するのすら駄目って言われているみたいで、普通に不愉快です。
腐る妄想はしてよくって恋愛妄想は駄目って言っているってわかりませんか?】
なんだ、コイツ~……。
私は思わずギリッと歯噛みした。
この人デリケートなんだなと、こちらだってできる限り触れないようにしてたのに。
というか、この人私の腐妄想が嫌なんだったら、ミュートなりブロックなりすればいいのに、こっちに勝手に喧嘩売ってきて図々しいと思わないのかな。
【そちらに大変不愉快な思いをさせてしまってすみませんでした。
どうぞ私のことはブロックなりミュートなりしてくださいませ。私はミュートとブロックさせていただきますね。】
えいっ。ミュートをして私のSNSにその人のアカウントが流れてこないように設定してから、すかさずブロックを仕掛けておいた。
これでこの人と交流することはないだろう。
それにしても……モヤモヤする。
私はゴロンゴロンと転がった。
SNSで討論はするな。考えてから書き込みをすべきとは、ネットリテラシーでさんざん習ってきたことなのに、うっかりと喧嘩してしまった。
まだまだだなあと思いつつ、モヤモヤするのは。
私のこのSNSのアカウントはあくまでオタク活動用のものであって、友達との交流用ではないってことだ。
今時オタ活は自由って言われているし、大昔はオタクの活動自体はもっと隠れてこっそりやるタイプだったらしいけれど、その手の話は私はいまいちピンと来ていない。
でもSNS特有の、四六時中繋がっていたいって感覚は息苦しくって、ここまで腐女子妄想を叫びまくっているアカウントは誰にも教えていない。ネットで出会う親切な先輩方に可愛がってもらい、時には注意される程度のものだ。
学校での私は、とてもじゃないけれど腐女子妄想を叫ぶことなんてできないんだもんなあ。
夢男子さんに注意され、思わず逆ギレしてしまったのだって、これを現実で叫ぶことができないから、なにも知らないのに好き勝手言わないでと思ったからだろう。
もうあちらもミュートとブロックかけてしまっただろうし、この手の話はおしまいおしまい。
私は引き続きヒーローゲームの絵や小説を閲覧し、時にはいいねをポチポチしまくってから、眠りについた。
友達とのSNSではここまで真剣に見ることがない。
私にとってここは、自分でつくった秘密基地なのだから。
ベッドで転がってSNSで今やっているソシャゲの情報収集をしていたところで出会った記事に、私はぶち切れた。
今やっているソシャゲはヒーロー物であり、プレイヤーはヒーローのサポーターとして応援しながら登場人物であるヒーローたちのヒーロー活動を見守るというものだ。
はっきり言って、サポーターは影や壁となって見守りたいというほどに、ヒーロー同士のクソデカ感情が強い。それに悦に入っているんだけれど、どうにも男オタクは「つまりはヒーローに恋したいんだね?」と思いたいらしい。
違うわ。こちとらヒーロー同士がいちゃついているのを見守りたいのであって、自分がヒーローといちゃつきたいんじゃねえんだわ。
この手の記事は炎上効果で読まれやすいから、すぐ人がキレるワードを仕込むんだろうけれど、こっちだって安易に触れていいことと悪いことがあるんだ。いい加減にしてほしい。
私はぶち切れながら、思わず書き込んだ。
【まじムカつくんですけど! このゲームは乙女ゲームじゃないのにすぐ乙女ゲーム扱いして!】
ポチッと書き込んだところ、誰かからコメントが飛んできた。
誰だろ。私は見知らぬアイコンのコメントを覗き込んだ。
【いや、これ腐女子向けゲームでもないですよね? 普段から腐妄想ばかり見えて迷惑してるんですけど】
それに私はドッと体が熱を持つのがわかった。
女性向けゲームをプレイしているのは、なにも腐女子だけじゃない。それこそ私が「乙女ゲームじゃないし!」と切って捨てた乙女ゲームユーザーだってしているし、プレイヤーと登場キャラが恋するのを妄想している、いわゆる夢女子だっている訳だ。
夢女子というのは私の属性ではないけれど、その手の人に失礼しちゃったかな。コメントくれた人になんて返そうと思ってその人のプロフィールを見て、目が点になった。
【夢男子です。今はヒーローゲームしてます。仲良くしてください】
この人、いわゆる夢男子か。
夢男子。夢女子の男性版だけれど、なかなかカテゴライズが難しい存在だ。自分がプレイヤーとしてキャラと恋愛しているのを妄想しているのは、腐女子の男子版の腐男子になるのか、それとも恋愛好きになるのか、なかなかデリケート過ぎるのだ。
それにしても、私の普段の妄想が流れてたんだったらたしかに申し訳ないけれど。どうやってコメントしよう。
私は「うーんうーん」と悩んだ結果、コメントを打ち込んでみた。
【いや、腐妄想が流れてしまったのは謝ります。ごめんなさい。
ただ、乙女ゲームじゃないものを乙女ゲームじゃないと言うのは駄目なんですかね?】
打ち込んだら、すぐに返信が来た。この人打ち込み早いな。
【最近そうやってすぐ乙女ゲームプレイヤーいじめるの多いじゃないですか。
存在しない乙女ゲームのせいで、乙女ゲームは恋愛脳がするゲームみたいに馬鹿にして。
恋愛妄想するのすら駄目って言われているみたいで、普通に不愉快です。
腐る妄想はしてよくって恋愛妄想は駄目って言っているってわかりませんか?】
なんだ、コイツ~……。
私は思わずギリッと歯噛みした。
この人デリケートなんだなと、こちらだってできる限り触れないようにしてたのに。
というか、この人私の腐妄想が嫌なんだったら、ミュートなりブロックなりすればいいのに、こっちに勝手に喧嘩売ってきて図々しいと思わないのかな。
【そちらに大変不愉快な思いをさせてしまってすみませんでした。
どうぞ私のことはブロックなりミュートなりしてくださいませ。私はミュートとブロックさせていただきますね。】
えいっ。ミュートをして私のSNSにその人のアカウントが流れてこないように設定してから、すかさずブロックを仕掛けておいた。
これでこの人と交流することはないだろう。
それにしても……モヤモヤする。
私はゴロンゴロンと転がった。
SNSで討論はするな。考えてから書き込みをすべきとは、ネットリテラシーでさんざん習ってきたことなのに、うっかりと喧嘩してしまった。
まだまだだなあと思いつつ、モヤモヤするのは。
私のこのSNSのアカウントはあくまでオタク活動用のものであって、友達との交流用ではないってことだ。
今時オタ活は自由って言われているし、大昔はオタクの活動自体はもっと隠れてこっそりやるタイプだったらしいけれど、その手の話は私はいまいちピンと来ていない。
でもSNS特有の、四六時中繋がっていたいって感覚は息苦しくって、ここまで腐女子妄想を叫びまくっているアカウントは誰にも教えていない。ネットで出会う親切な先輩方に可愛がってもらい、時には注意される程度のものだ。
学校での私は、とてもじゃないけれど腐女子妄想を叫ぶことなんてできないんだもんなあ。
夢男子さんに注意され、思わず逆ギレしてしまったのだって、これを現実で叫ぶことができないから、なにも知らないのに好き勝手言わないでと思ったからだろう。
もうあちらもミュートとブロックかけてしまっただろうし、この手の話はおしまいおしまい。
私は引き続きヒーローゲームの絵や小説を閲覧し、時にはいいねをポチポチしまくってから、眠りについた。
友達とのSNSではここまで真剣に見ることがない。
私にとってここは、自分でつくった秘密基地なのだから。



