柿原直哉。齢27。
突然だが…
「ここは何処だぁーーーー!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

事件はおそらく1時間前、ねぇちゃんに申し込まれた読み聞かせのバイト?ボランティア?そこはどうでもいいか。
とにかく子供に本を読んでいた。


しばらく読んでると予想はしていたが子供たちがつまらなそうな顔をし始めていたので俺は即興演劇を始めた。

我ながら完璧だったと思う。


怪獣)「うぉー!!怪獣が来たぞー!!」 
村人)「キャー!!」
王女)「やめてくださる!…わが王国にその汚い足を踏み
    入れるなんて許しませんわ!」



…思い出した。

その時俺は頭を打ったんだ。

なにで?って?

怪獣の役をしてるときにテンションの上がった子供が「悪い子にはお仕置きよ!」って言いながら辞書投げてきて見事怪獣(俺)を討伐。、、


「うわぁぁぁ俺死んでんじゃん!!
…もしやこれって、、、
かの有名な異世界!?俺めっちゃ幸運!ラッキーボーイじゃん!」

何を隠そう俺はどれ程の時間をを異世界転生ものラノベに捧げたかわからないくらいには異世界転生ストーリーが大好きなのである。


何度自分と置き換えて想像したものか…


神様ありがとう!生身の俺は死んだけど今の俺を産み出してくれたことに感謝!


ところで、これはどんな世界なのだろうか。


第一希望のハーレム系…ではなさそうだし、自然も全くないので自然に囲まれてほのぼのらいふ!…とかでもない。


あるのはレンガ造りの建物が多く並ぶ街並み。


少なくとも住み慣れた日本…ではなさそうだった。


身に付けている服に変化はなく、全身をペタペタと触っても、身に付けているものにしつこく触れても。


よくある感じの経験値や能力値がでる風でもなかった。



「まぁ、なんもわかんねーけど歩いてみないと始まらねーか!まずは聞き込みからだな!言語が通じるかも不安だし」


ガチャ
カランカラン

ドアを開けると同時にドアに取り付けられた鈴がなる。


「いらっしゃい」
そう言いながらに店主らしき男が振りかえる


「こんにち…えっ!?」


目の前にいた店主らしき男は紛れもなく俺と同じ顔だった。

まったく同じかというとそうではなく俺の面影のある、多分50代になったらこんな顔だろうな、の俺と同じ顔なのだ。


「にぃちゃん。どうかしたかい?…!?」
そう言う店主もなにか驚いた顔をするとすぐに
「お助けください。私たちの村が危ないのです。」
といい始めた。


「村?」


「そうです。まずこの《柿原直哉》王国は過去村、現在村、未来村の3つに分かれており、外を出たらわかる通り真っ直ぐの道で繋がっております。ちなみにここは未来村です。今その中の現在村に小隕石が激突し道が崩壊しており全国民が困っているのです。修理業者も機能しておらず…しかも、王の元に国を滅ぼしてやるという手紙も来ているらしい。」


「俺の名前の王国!?隕石!?手紙!?」


「さようでございます。」



現在過去未来の村…俺名前の王国…現在に小隕石…
生身の俺…生きてるんじゃね?そんな考えが頭に浮かぶ。


「なんで俺なんだ?」


「国王からの命令で27才くらいの男が国を救うと発言されていたのです。」


「ドンピシャ俺じゃん。」


「さようでございます。」


「具体的に何をすれば?」


「わかりません」


わからない…。敵という言葉も言われていた。戦いが始まるかもしれない。わからない不安ばかり募るがワクワクとした気持ちの方が前にいるのを感じる。


「わかった。なかまを俺に何人か紹介するなら請け負ってもいいぜ!」


「こちらの鈴をお使いください。」


そう言って手渡されたのはごく普通の鈴のようだった。


アイテムを貰った効果からか、ようやく始まった感がでてきてわくわくする。


リンリン
鈴を鳴らす。


するとすぐに人が入ってきた。


「なにかご用でしょうか」
90代位のまた、俺に似た男。


耳打ちで店主に
「ここってもう少し若い人っていねーの?」


「あー、ここは未来村なので若者は少ないですが現在村に近づけば多分…」


そうらしい。


90代の人間をつれ回すのも酷だと思い事情を話して帰って貰った。


「店主さん!」


「はい?」


「この国は《柿原直哉》この俺に任せてください」


「ありがとうございます」


カランカラン
ドアを開け、店を後にする。


何をすればいいのかわからない。まずは王の元へ行こう。仲間もつれていかなければ…


色々な考えが頭をぐるぐるとかき混ぜる。


だが、やはり憧れの異世界での生活の本格的な始まりを約束され心が踊る。


「よしっ!この鈴の音で、異世界というか生身の俺の世界救うぞー!おーー!」

セルフの掛け声に恥ずかしさを覚え、絶対仲間すぐ連れてきてやる。
と、心に決めたのであった。