深夜に名月神社に通うことが日課になりつつあった。

お花を植えてもいいとお許しをもらったので、伴藤家に植えたくても植えられなかったお花を名月神社に植えさせてもらっている。そしてその作業は、毎回月読様も手伝ってくれる。私はこの時間がすっかりと好きになっていた。

伴藤家で嫌なことがあっても、名月神社に行けば気分が晴れる。月読様に会えば笑顔になれる。こんな生活も、悪くない。

子作りにおいては、今回も月のものが来てしまった。そのことに安堵している自分がいて、驚いた。

私は子を身ごもりたく、そしてその子は男でなければならなく、男子さえ産めば私は伴藤家で必要とされるとばかり思っていたのに。

愛のない旦那様の子を身ごもることに何の意味があるのだろうと、ふとした瞬間に頭をよぎるのだ。こんなことではいけないと、自分を戒めるけれど、モヤモヤした気持ちが頭を埋め尽くす。

「喜与さん、今回もだめだったんですってね」

「はい。申し訳ございません」

「はぁー。何かあなたに問題があるのではなくて? 何のために嫁に来たかわからないわね」

「おい、今夜部屋に来い」

「かしこまりました」

お義母様と旦那様が私を蔑みながらため息を吐いた。私は旦那様の行為をすべて受け入れているし、何も間違ったことはしていない。ただ、最近はいつも、「この人との子はいらない」と思ってしまっている部分もあるが……。

でも子を産まなければこの先伴藤家での私の居場所はますますなくなるばかりだ。路頭に迷うのだけは避けたい。そうなるとやはり、子を産まねばならない。なぜ、できないのだろう?

深夜、旦那様の寝所へ向かう。足取りはどんどん重くなる。私はこの先、何度この男に犯されなければいけないのだろう。

そう、抱かれているのではない。
犯されているのだ。