二人は意を決して「灰色の小道」を進むことを決めた。霧はますます濃くなり、視界はほとんど奪われていた。それでも、アカリは道の奥に何かがいると確信していた。

「感じますか?」アカリが呟いた。

「ええ。」ケイもまた、何かに取り憑かれたような表情をしていた。「これは……兄の声だ。」

アカリが聞く限り、霧の中からは何の音も聞こえなかった。しかし、ケイの目は鋭く小道の奥を見つめている。

突然、霧の中から黒い影が現れた。それは不定形の何かで、人間の輪郭をぼんやりとした影にしたようなものだった。影は微かに揺れながら、二人の前に立ちはだかった。

「何……これ……?」アカリは立ち尽くした。

影は囁き始めた。だが、それは明確な言葉ではなく、ただ耳障りな音の連続だった。それでも、その音が何を意味するのか、アカリは直感で理解していた。

「あなたの罪を見ろ……」影はそう言っているように思えた。