一緒に乗ってた武士達は射られて死んだ。それでも、何とか弟の遺体を引き上げようとたら、源氏の放った矢がわしの背中に刺さってな、わしも舳先から転落したんや。
右肩に深い傷を負いながらも、何とか生き延びたわしは無人島に流れ着いたんや。
そこには食うもんが何もない。助けてくれそうな人間もおらん。
夕刻、わしは砂浜に寝転がったまま肩の傷が化膿して熱にうなされた。もう、死ぬと感じた。ふと、奇妙な叫び声が聞えてきてビックリした。
浜辺にカラスが群がっとるのよ。
最初は、鯨の子供が迷い込んで打ち上げられたんかと思ったけど、上半身はオナゴや。多分、オナゴやろな。まぁるい乳があった。でもな、顔は岩に打ち付けてグチャグチャに潰れとる。カラスに血まみれの顔を突かれてまさしく瀕死の状態じゃ。
わし、おかぁの馴染みの船頭から聞いた事があった。
人魚の肉を食べたら元気になるってな。
弱っとったから何としても精をつけたかった。
こうなったら、これを食うしかないとばかりに、尖った石を探して人魚の尻尾の肉をえぐりとってむしゃぶりついたわ。
火なんか起こされれへんから生で食うたったわ。
鯛によう似た味やったな。淡白で美味しかった。
当たり前やけど肉をえぐられた人魚はこの世のものとは思えんような咆哮を響かせたぞ。
どえらい勢いでバタバタしよったわ。わしは耳を塞ぎながらも尻尾の白身を黙々と食べたんや。そしたら、そのうち、人魚は何も言わんようになった。
わしは、胸焼けがしてきたんで浜辺に仰向けになって倒れた。
横目で見ると、カラスが人魚の喉を潰して肉を引き千切るようにして貪り食うとった。
人魚の血も赤いみたいやな。
翌朝、目が覚めたら、わしの肩の傷は綺麗に治っとった。
人魚の死骸は満潮になった時に沖合いに流されて消えてしもうた。
ここから、わしの運命は大きく変わってしまう。
右肩に深い傷を負いながらも、何とか生き延びたわしは無人島に流れ着いたんや。
そこには食うもんが何もない。助けてくれそうな人間もおらん。
夕刻、わしは砂浜に寝転がったまま肩の傷が化膿して熱にうなされた。もう、死ぬと感じた。ふと、奇妙な叫び声が聞えてきてビックリした。
浜辺にカラスが群がっとるのよ。
最初は、鯨の子供が迷い込んで打ち上げられたんかと思ったけど、上半身はオナゴや。多分、オナゴやろな。まぁるい乳があった。でもな、顔は岩に打ち付けてグチャグチャに潰れとる。カラスに血まみれの顔を突かれてまさしく瀕死の状態じゃ。
わし、おかぁの馴染みの船頭から聞いた事があった。
人魚の肉を食べたら元気になるってな。
弱っとったから何としても精をつけたかった。
こうなったら、これを食うしかないとばかりに、尖った石を探して人魚の尻尾の肉をえぐりとってむしゃぶりついたわ。
火なんか起こされれへんから生で食うたったわ。
鯛によう似た味やったな。淡白で美味しかった。
当たり前やけど肉をえぐられた人魚はこの世のものとは思えんような咆哮を響かせたぞ。
どえらい勢いでバタバタしよったわ。わしは耳を塞ぎながらも尻尾の白身を黙々と食べたんや。そしたら、そのうち、人魚は何も言わんようになった。
わしは、胸焼けがしてきたんで浜辺に仰向けになって倒れた。
横目で見ると、カラスが人魚の喉を潰して肉を引き千切るようにして貪り食うとった。
人魚の血も赤いみたいやな。
翌朝、目が覚めたら、わしの肩の傷は綺麗に治っとった。
人魚の死骸は満潮になった時に沖合いに流されて消えてしもうた。
ここから、わしの運命は大きく変わってしまう。
