お堂やお宮などで野宿をしながら、芸を披露して人を集めて針を売り歩くのだが、少年は食べるのに苦労して何度も死にそうになる。寒村の描写がリアルだ。村の人が赤子や老人を捨てる場面も切なくて胸に迫る。
児童向けのものとしては、なかなか勇気のいる内容である。
主人公がのひたむきな生き様に羽田も引き込まれて思わず胸が熱くなる。
小説も挿絵も教祖が一人で作成したというのだから、たいしたものであ。
教祖の書く絵は鳥獣戯画を彷彿させるコミカルな画風で郷愁を誘う。
(それにしても、主人公の太郎の生き抜く力が凄いよな……)
まだ、半分ほどしか読んでいないが、太郎の人生が心の中で躍動しているのを感じる。
『ピーヒャララ、ピーヒャララ』
これを読むと生きる勇気が湧いてくると沙織は言っていた。
そんな事を思い返していると電車は無人駅に辿り着いた。
駅前だというのにタクシーは一台も止まっていない。
公衆電話に貼られているタクシー会社に連絡すると、すぐに来てくれた。
老いたタクシーの運転手は饒舌だった。この町の住人の殆どが老人だという。
村上の別荘は辺鄙な山の中にあるのだが、その別荘の周囲には何もないという。
『去年、ハイキングの途中で心臓発作を起こした男性がいましてね。冬の間、雪の下に埋まっていました。冬は、まだいい。熊も冬眠していますからね。冬眠前の秋に森で動けなくなったりしたら、熊の餌になっちゃいます。お客さんも気を付けて下さいね』
森の中にポツンと一軒建っていた。
児童向けのものとしては、なかなか勇気のいる内容である。
主人公がのひたむきな生き様に羽田も引き込まれて思わず胸が熱くなる。
小説も挿絵も教祖が一人で作成したというのだから、たいしたものであ。
教祖の書く絵は鳥獣戯画を彷彿させるコミカルな画風で郷愁を誘う。
(それにしても、主人公の太郎の生き抜く力が凄いよな……)
まだ、半分ほどしか読んでいないが、太郎の人生が心の中で躍動しているのを感じる。
『ピーヒャララ、ピーヒャララ』
これを読むと生きる勇気が湧いてくると沙織は言っていた。
そんな事を思い返していると電車は無人駅に辿り着いた。
駅前だというのにタクシーは一台も止まっていない。
公衆電話に貼られているタクシー会社に連絡すると、すぐに来てくれた。
老いたタクシーの運転手は饒舌だった。この町の住人の殆どが老人だという。
村上の別荘は辺鄙な山の中にあるのだが、その別荘の周囲には何もないという。
『去年、ハイキングの途中で心臓発作を起こした男性がいましてね。冬の間、雪の下に埋まっていました。冬は、まだいい。熊も冬眠していますからね。冬眠前の秋に森で動けなくなったりしたら、熊の餌になっちゃいます。お客さんも気を付けて下さいね』
森の中にポツンと一軒建っていた。
