ずっと好きだったのは俺の方

 肩の怪我もだいぶ良くなり俺はマネージャーとして復帰する事になった。
 どうやら遼平が俺にマネージャーのポジションを作ってくれたようだ。1度野球部を辞めようと思ったけど、今まで一緒に頑張っていた仲間の手伝いが出来る事が嬉しかった、、というのは建前で遼平の頑張っているカッコイイ姿をずっと近くで見ていたい、というのが本音だったりもした。自分でも驚いたがあまり野球に未練は無かった。

 部活終わり、遼平が久しぶりにあの公園へ行こうと誘ってくれた。ベンチに座りダラダラと話していると遼平は俺が無理をしていないかと心配そうな顔をして聞いてきた。俺はそんな無理なんてしていないし、野球が出来なくなっても俺に居場所をくれた遼平に感謝している、それと野球部に入ったきっかけは全部遼平だったんだと伝えた。

 次の瞬間、遼平は俺を抱きしめた。

 突然の事でびっくりしたけど遼平の体温があったかくてすごく心地よかった。
 でも数秒経って我に返った俺たちは恥ずかしくなってすごい勢いで離れた。
 その後何事も無かったかのように接するのは大変だったけど、俺の遼平が好きだという気持ちを再確認する事ができた。

 11月の早朝、誰もいないグラウンド。
 朝練の準備をしながら今までの事を思い返してみる。
 何となく決めた高校だった。そんなにやりたくて入った部活ではなかった。でも大切だと思える人に出会えた。野球をやっていて良かった。こんな事を考えていると「康太ー!!おはよう!!」と大好きなヤツの声が聞こえた。

 俺は決めたんだ。
 今日あのいつもの公園で好きだって伝えようと。



 体が勝手に動いてしまった。
 康太が俺の腕の中にいる。ヤバい熱くなってきた。
 我に返った俺は恥ずかしくなって抱きしめていた腕を離した。その後は何を話したのか全く覚えていない。
 康太はどう思っただろう。俺は家に帰ってからずっと同じ事を考えている。嫌がっている様子もなかったし、耳まで赤くなっていた気がする。

 ベッドへ入り康太に出会った頃から今までのことを思い返してみる。最初は憧れだったけど康太と接するうちに憧れよりも好きだという気持ちが増したんだ。
 何よりもあの笑顔をずっと側で見ていたい。

 ずっと、見ていたんだ。
 ずっとずっと君の事だけを。

 11月の早朝、グラウンドには俺の大好きなヤツがいる。「おはよう!!」と声をかけると、とびきりの笑顔で迎えてくれた。やっぱり今日も康太が大好きなんだと実感する。

 俺は決めたんだ。
 今日あのいつもの公園で好きだと伝えよう。
 どんな結果になったとしても後悔はしないから。