ずっと好きだったのは俺の方

 何が起きたのか分からなかった。
 こっちに向かってくるボールを追いかけていて、、、

 気が付くと俺は学校の保健室で寝ていた。
 起きた俺を見て安心したような泣きそうな顔で遼平は笑った。
 「おい、康太心配させるなよー。」
 「ごめんて。」
 「俺、どうなっちゃったの?」
 「分かんねーけど、ボール取る時にバランス崩してこけた。肩を打ったみたいだから冷やしてるぞ。」
 「そうだったのか。心配かけてごめんな。」
 「お前ずっとここに居てくれたのか。」
 「あぁ、心配だったから。目が覚めるまで側にいたかった。」
 「お前、彼氏みたいな事言うなー。」と冗談まじりに言うと遼平は真面目な顔をして俺の事を見つめた。
 俺はそんな空気に耐えかねて「ちょっとトイレ行ってくる。」と慌てて保健室の外へ出た。
 胸の鼓動が早くなっていく。遼平のあんな顔は初めてみた気がした。

 恥ずかしくてなかなか戻るタイミングが分からない。
 保健室の前をウロウロしているとチームメイトがやってきて「康太、目が覚めたんだな。親が迎えにきてるぞ。」と教えてくれた。
 そんな様子に気付いて遼平が俺のカバンや道具を待ってきてくれた。
 「ありがとな。遼平。」
 「ん。無理すんなよ。」そう言って遼平は俺の頭をポンポンと撫でた。運ばれて行く康太を俺は見ている事しかできなかった。



 試合が終わるとすぐに康太が運ばれた保健室へ向かう。入って突き当たりのベッドで康太は寝ていた。
 肩を強く打ったようで冷やしている。顔にもすり傷があった。こんな痛々しい姿を見るのは初めてだ。
 目が覚めるまで側にいたい。ベッド横にあった丸椅子に腰を下ろした。

 少しして康太は目を覚ました。
 良かった。目が覚めて。
 俺はこの時どんな顔をしていただろう。
 ちゃんと普通でいれただろうか。

 怪我をした時の事をあまり覚えていなかったのでいろいろと教えてあげた。
 康太は「心配かけてごめん」と言ったが、そんな事はどうでも良かった。
 その後俺は「側にいたかった。」なんて言ってしまったのだ。康太を困らせてしまっただろうか。
 俺の想いを少しだけ伝えてみたくなったんだ。
 すると慌てたように「トイレ!」と言って外へ出て行ってしまった。もう体は大丈夫なのだろうか。

 廊下で喋り声が聞こえる。
 どうやら康太の親が迎えに来たらしい。
 俺は康太の荷物を待ち見送りをしようと外へ出た。
 「無理するなよ。」と伝える。康太は耳まで赤くなっていた。まだ調子が悪いのかもしれない。

 それから3日間康太は学校を休んだ。
 毎日連絡したけど返信は来なかった。
 何かあったのだろうか。
 同じクラスに康太と中学が一緒だったヤツがいたので
 頼み込んで康太の家を教えてもらった。
 「今から行く。」と連絡しても既読にはならない。
 だからもう行くしかないと思った。