「一緒に野球がやりたい」なんて言ったけど、康太と仲良くなれたのが嬉しくて同じ部活だったらもっと長い時間一緒にいられると思った。これがどういう気持ちかなんてウスウス気付いていたけど、まさか自分が、、と驚いてはいる。高校へ入るまでのあの気持ちや最初に会った時のあの感情。今思えば納得のいくものだった。だけどこの気持ちは気付かれてはいけないもの。俺は康太とどうにかなりたいなんて思わない。一緒にいられればいい。友達くらいでいいんだ。
そうやって俺は自分の気持ちに蓋をした。

入部届けの提出期間が始まった。
俺は早々に野球部へ入部届けを提出した。
康太は野球部に入るか悩んでいる様だ。
あんなにセンスがあるのに何を悩む事があるんだろう。もしかして俺と同じ部活に入りたくないんじゃ、、なんて考えて1人で勝手に落ち込んでいた。

明日が入部届けの提出締切日。
ホームルームが終わり友達と喋っていると康太が「職員室行くからちょっと待ってて」と言い教室を出て行った。部活の事かな、、いや違う事かも、、と考えているとソワソワしてしまう。周りの友達がそんな俺を見て「気持ち悪い動きすんな」と言った。
康太が職員室から戻ってきた。
俺はいてもたっても居られなくなって側へ駆け寄る。
「野球部へ入部届け出してきた。」
頭の中で誰かが万歳三唱している。
嬉しすぎて「泣きそう」なんて言ったのは嘘じゃなくて本当の事だったから。