何が起きたのか分からなかった。
こっちに向かってくるボールを追いかけていて、、、

気が付くと俺は学校の保健室で寝ていた。
起きた俺を見て安心したような泣きそうな顔で遼平は笑った。
「おい、康太心配させるなよー。」
「ごめんて。」
「俺、どうなっちゃったの?」
「分かんねーけど、ボール取る時にバランス崩してこけた。肩を打ったみたいだから冷やしてるぞ。」
「そうだったのか。心配かけてごめんな。」
「お前ずっとここに居てくれたのか。」
「あぁ、心配だったから。目が覚めるまで側にいたかった。」
「お前、彼氏みたいな事言うなー。」と冗談まじりに言うと遼平は真面目な顔をして俺の事を見つめた。
俺はそんな空気に耐えかねて「ちょっとトイレ行ってくる。」と慌てて保健室の外へ出た。
胸の鼓動が早くなっていく。遼平のあんな顔は初めてみた気がした。

恥ずかしくてなかなか戻るタイミングが分からない。
保健室の前をウロウロしているとチームメイトがやってきて「康太、目が覚めたんだな。親が迎えにきてるぞ。」と教えてくれた。
そんな様子に気付いて遼平が俺のカバンや道具を待ってきてくれた。
「ありがとな。遼平。」
「ん。無理すんなよ。」そう言って遼平は俺の頭をポンポンと撫でた。