新年度のクラス替えで康太とは別のクラスになってしまった。俺はまた同じクラスが良かったのに康太は何とも思っていないようだ。俺なら1人でも大丈夫、なんて言ってきた。そんなことないのに。

今日はすごく嬉しい事があった。
康太がレギュラーになったのだ。
「康太、やったなー!」
「うん。俺もっと頑張る。」とキラキラした目をこちらへ向ける。「かっ、かわ、、」
そんな康太を見て俺は抱きしめてしまいそうになった腕で康太とハイタッチをした。

うちの顧問は練習試合をたくさん組んでくる。
何にしても経験が必要だ、という考えらしい。
だから毎週土日は休みがない。
だからこんなに一緒にいる康太とも遊びに出掛けた事が1度もない。
今日も午前中に1試合終え、午後にもう1試合。
だいぶ日差しも強くなってきた。
ちょうど外野の辺りに日差しがかかっていて康太が眩しそうにしている。そんな事を思っていると見ていた方向へボールが大きく飛んで行った。
「前、前ー」落下地点に勢いよく滑り込みボールは康太のグローブに収まった。
だが、康太はなかなか起き上がらない。次第にチームメイトが集まってきた。みんながコーチを呼んでいる。何が起きているのか分からなかった。俺は何も出来なかった。