弁当を食べ終わり呼び出された場所へ行く。
小柄な可愛らしい子が待っていた。
入学した時から好きだと一生懸命伝えてくれた。
でも俺は好きな奴がいると告白を断った。
これで高校に入ってから3回目。断る方もかなり大変だ。何とも言えない申し訳なさがある。
告白する子達はどれだけの勇気を振り絞っているのだろう。俺はいつかアイツに好きだと言えるのだろうか。いや、俺が告白なんてしたらアイツを困らせてしまうだけだ。やっぱり俺には友達というポジションが合っている。何がなんでもそう思うようにした。

康太は部活が終わると何も言わずに先に帰ってしまった。こんな事は初めてだったから驚いたし、何かしてしまったのかと今日1日の出来事を思い返す。
でも何も思い当たらない。モヤモヤしたまま家に帰る。夕飯を食べても風呂に入ってもこのモヤモヤは消えなかった。だから電話して直接聞く事にした。

「康太?お前何も言わずに先帰ったなー。」と少しおどけたように問いかけてみる。
「体調悪かったのか?」と聞いてみると
「いや、別に」と返ってきた。
体調が悪かったわけじゃないんだ、と聞いて少しホッとした。
「今日はお前と唐揚げ食べようと思ってたのに」と俺が言うと「遼平、今日告白されたって聞いて」と康太が言った。
告白された事なんて知られたくなかった。
康太には言うなと釘を刺しておいたのにアイツが言ったんだな、、と友達を少し恨んだりした。
気まずい空気が流れる。
「彼女と一緒に帰るのかと思って、俺邪魔しちゃ悪いから先に帰った」と康太が言った。
そうだったのか。俺が付き合ったと勘違いしたんだ。
「俺、断ったよ。告白。好きな奴いるし。」
俺はハッキリと康太に伝えた。
康太は「そっか。」とだけ言った。
少しだけ声のトーンが明るくなった気がした。