◇とあるブログ~自死で逝った愛する我が子へ思いを馳せる~2015年6月4日

もうすぐ一年が経ちます。今もまだ、あの日のことを昨日のことのように覚えています。
夏休み明け初日。私は部屋へ息子を起こしに行きました。
高齢で出産したこともあり、私も夫も息子を大切に育てました。誰かに過保護だと指をさされても構いませんでした。
それぐらい大切で心から愛していたからです。

息子はちょうど思春期でした。朝起こすためとはいえ、部屋を開けると嫌がるのです。
いつものようにノックして「朝だよ、起きて」と声を掛けましたが一向に返事がありません。
妙な胸騒ぎがして、ほんのわずかに扉を開けました。隙間に口を近付けてもう一度声を掛けました。
すると、妙な匂いがしたんです。すえたような酸っぱい匂い。
それは嗅いだことのある匂いでした。息子は幼い頃よくおねしょをしました。その匂いでした。
中学生にもなっておねしょをしてしまったことを恥じているせいで部屋から出てこないのだと思いました。
羞恥心を傷付けないように気をつけながら部屋の扉を開けました。
そのときのことは今も忘れられません。



◇とあるブログ~自死で逝った愛する我が子へ思いを馳せる~2015年6月5日

息子はクローゼットの取っ手にロープを巻いて首を吊っていました。
その後の記憶はほとんどありません。
泣き叫びながら朝食を食べていた主人を呼び、息子の首からロープを外そうとしました。でも、手が震えてうまくいきませんでした。
そのとき、目を大きく見開き、口を半開きにした息子と目が合いました。
口からは白い泡を吹き、下半身は尿まみれでした。
恐る恐る青紫色の顔に手を伸ばしました。
息子はすでに息を引き取り、冷たく、固くなっていました。
救急隊員の方がやって来て、息子の心拍を確認しました。
奥歯を噛みしめながら「病院へ搬送します」と言ってくれました。
私は一縷の望みにかけ、涙を流しながら救急車に乗り込みました。どうして、なぜ。
頭の中は混乱し、そんなことばっかり繰り返していたような気がします。
結局、息子は亡くなりました。
息子が亡くなった翌日、部屋から遺書を見つけました。
息子は中学でのイジメを苦に、命を絶ったのです。
私は息子がイジメられていたことにまったく気づきませんでした。

◇とあるブログ~自死で逝った愛する我が子へ思いを馳せる~2015年6月6日

そこには私達親への謝罪と感謝、そしてイジメられたことへの苦悩が記されていました。
私はその遺書を持ってすぐさま学校に乗り込みました。
でも、校長も担任の先生も「私たちにそのような認識はございませんでした。ですが、このようなことになり残念です」と自分たちは何も知らなかった、悪くないと繰り返しました。
私は痺れを切らして、息子をイジメた加害者宅へ出向き、謝罪を求めました。
加害者の親は私に向かって「言いがかりをつけるな!警察を呼ぶぞ!」と恫喝しました。
私が訴えると言うと、好きにしろと門前払いでした。
実際、息子がイジメられたという証拠はいくつかありました。
学習机の奥に隠すように押し込まれていた、破かれた教科書や死ねと書かれたノート。
下校途中に失くしたと言っていたまだ新しい体操着は鋭利な物でズタズタに切り裂かれていました。
でも、それが加害者がしたことだと証明することはできませんでした。

このままでは息子の死が無駄になってしまう。頭が狂いそうでした。
苦しみや悲しみはどんどん募っていきました。
心のやり場がなく、私もあとを追おうと考えたことは一度や二度ではありません。
結局、加害者はなんのお咎めもなく中学を卒業し、高校や大学へ進学。
あれからもう10年も経ちましたし、きっと今頃社会人になっているでしょう。
家庭を持っている人もいるかもしれません。
息子は死に、息子をイジメた人間は幸せに生きている。
彼らはみんな忘れます。自分がしてきたことを、人をイジメたという事実を。
そんな理不尽なことが許されるんでしょうか?


◇とあるブログ~自死で逝った愛する我が子へ思いを馳せる~2015年6月7日

被害者はずっと忘れません。
被害者だけでなく、その家族、友人……その人を大切に思っている人はずっとずっと悲しみを忘れません。
同時に抑えようのない怒りや憎しみ、恨みを覚えます。
彼らにも同じ苦しみを与えてやりたいと考えるようになりました。
でも、残念ながら直接手を下すことはできません。私はそこまでの理性を失ってはいませんでした。

ただ、不幸になって欲しい。息子と同じ分、いえ……もっと最上級に苦しんで欲しい。
イジメなんて卑劣なことをした過去の自分を悔やみながらその生涯に幕を閉じて欲しい。
加害者はきっと、笑顔を浮かべながら息子をイジメたのでしょう。
苦しく助けて欲しいと涙を流して懇願する息子を見下し、嘲笑っていたんでしょう。
そんな理不尽が許されますか!?どうしてうちの子が。うちの息子が。
卑劣な人間にイジメられて死を選ばなければならなかったんでしょう。

……ああ、すみません。少し興奮してしまいました。
きっと、このブログを見て下さっている皆さんも同じ気持ちを抱えていることでしょう。
子供を亡くす辛さは同じ境遇を味わった人にしか分からないでしょう。
ご子息、ご息女を亡くされた方々はきっと私の気持ちを理解してくれますよね?

◇とあるブログ~自死で逝った愛する我が子へ思いを馳せる~2015年6月8日

今までの記事に誹謗中傷のコメントが付きました。
『こんなねちっこい母親じゃ息子も自殺したくなるでしょ』
『↑それな』

許せません。どこかの掲示板に私のブログが晒されてしまったようです。
目を通しきれないほどのコメントが届いています。
私や亡き息子への気遣いを感じる心優しきコメントもあります(感謝しております)が、
そのほとんどが誹謗中傷です。
中には息子の名前等を探ろうとする不届き者まで現れました。
信じられません。どうしてイジメ被害者家族の私がこんな風に責められないといけないのでしょうか?
コメント欄を閉じれば解決だとおっしゃる方もおりますが、
私はイジメ加害者と同じようなことをする人間には決して屈しません!

◇とあるブログ~自死で逝った愛する我が子へ思いを馳せる~2015年7月8日

更新が一か月ほど開いてしまい、申し訳ありません。
結論から申し上げますと、これ以上ブログを続けられそうにありません。
このブログは息子をイジメ被害で亡くした私が、
同じような境遇の方と繋がり、少しでもこの苦しみを癒せるようにと開設しました。
ですが、度重なる誹謗中傷で自分自身をコントロールすることができなくなってしまいました。
外に出ると誰かが私を監視している気がして恐怖を感じます。
仕事も手につかなくなり、徐々におかしくなる私を見て、夫は耐えられず家を出て行ってしまいました。
すべてのはじまりは、イジメでした。
イジメなんかが起こらなければ息子は死ななかった。
夫は家を出て行かなかった。
私は楽しく趣味のガーデニングや料理を楽しんでいたはずです。

前回のブログで、イジメ加害者と同じようなことをする人間には決して屈しないと書きましたが、
もう無理です。心が折れる寸前です。
私に口汚い言葉を投げかけてきた人たちはきっと喜ぶでしょう。
私が一か月たらずでブログをやめると決めたことを。
でも、いつか。いつか皆さんには天罰が下ることでしょう。
私の知り合いの霊能力者の先生が行っていました。因果は巡ると。
もしもこのまま私が死ぬようなことがあれば、あなたたちを呪います。
末裔まで呪い殺します。そのときに後悔してももう遅いです。
負け惜しみだと言われようと、構いません。
このブログはこのまま残してきます。では、またいつか会う日まで。

このブログ主は2015年7月8日を最後に更新を断った。