■美咲さんのインタビュー

正確な日付は忘れましたけど、今年の初めにうちのポストにこれが投函されていました。
封筒や切手などはありません。この紙だけが四つ折りになって入っていたんです。
ってことは、誰かがこれをわざわざうちまでやってきてポストに投函したってことですよね?

この手紙を最初に見つけたのは私でした。
中身を確認するまでは、近所の人が自治会費の催促のためにいれたのかなって悠長に思ってました。
近所にうるさいババアがいるんです。ゴミを捨てるなとかほんとうるさいし、しつこくてホント迷惑してました。

でも、紙を開いた瞬間ぞわって全身の毛が逆立ちました。
白い紙に赤い文字っていうだけでも気持ちが悪いのに、ところどころ色がかすれて、文字の太さも少し違ったんです。
文字はペンやボールペンで書かれたものではないことは一目見ただけで分かりました。
それで、気付いたんです。この文字が血文字であると。
血文字でわざわざ書くなんて、正気じゃないでしょ?
あっくんにヤバいヤバい言いながら見せたら、どうせ幼稚な悪戯だって取り合ってもくれませんでした。
でも、私はすぐに気が付いたんです。この手紙を入れる人間はひとりしかいないって。
絶対に北京だって。ねちっこい性格だったし、九年経った今もあっくんや私を恨んでいてもおかしくないって。
手段はわかりませんけど、うちの住所を知ってわざわざポストに投函して自分の存在をアピールしたんでしょう。
ホント、キモイ奴。
でも、それからです。あっくんがおかしくなりはじめたのは。
毎晩うなされるようになってまともに睡眠がとれなくなっちゃって。
不幸は重なりました。
あっくんが中学時代に親しくしていたAとBが同時に亡くなったって知ったんです。
当時、ニュースになっていたものがこれです。