第二章 過ごす日々
「じゃあ、私と付き合ってよ」
教室には琴音の声だけが響く。
「え? でも、なんていうか、その」
こういう時なんというのが正解なんだろうか。もう時間がない琴音は誰かと恋愛をしてみたいと願っている。それを叶えることができるのは現状僕しかない。もし、断ってしまえば悔いを残したまま死ぬことになる。
でも、恋愛というのは好きな人同士て恋愛をするのがが当たり前である。
「やっぱ嘘。忘れて今言ったことは」
琴音は偽りの笑みを浮かべた。
そして、鞄を持ち教室を出ようとする。
「じゃあ、明日ね」
「待って、その、うん、付き合おう」
止めようとしても口は止まってくれない。
「僕で良ければ付き合うよ」
「お断りしまーす」
意地悪そうに琴音は笑い、教室を出た。
どういうこと?
僕の心では理解できない心境になっている。
ぐしゃぐしゃになっている心を落ち着かせるために深呼吸をする。
感じたことない鼓動の速さに戸惑いながらも考える。
僕は今振られたのか?
数週間後。
いつも通り琴音は僕に話しかけて来た。
もはやこれが当たり前になっていた。
「それじゃあ、今日は将来の夢について語るぞ~!」
琴音は元気よく腕を上げる。
その様子はまるではしゃいでいる子どもみたいだった。
数週間前に告白のようなことをした誠は上手く空気が読めなくなっていた。
どのように接するのが正解なのか、どのように話すのが正解なのか、全てが分からなくなっていたのだ。
「おーい。聞いてる誠君?」
「あ、うん。聞いてるよ」
数週間経っても僕の気持ちは理解できていない。
あの日の放課後、僕はどうして告白まがいなことをしたのだろうか。分からない、けど、あの時の僕は思ったことを行動に移したのだろう。
「おーい。誠君?」
「は、はい」
「誠君の将来の夢って何?」
「うーん。決めてないな」
「嘘でしょー? 本当に生きる意味が無いの?」
「うん。前にも言ったけど生きる意味なんてなくても生きていけるし」
「はぁー。まだそんな考えしてるの?」
「うん。だって本当のことじゃないか」
「いやいや、あのね誠君。人は生きる意味を持つことに意味があるんだよ。だから、誠君は生きる意味を探さないといけないの!」
なかなかの暴君だ。
そもそも、僕は昔から分からないんだ。生きる意味が分からないんだよ。
だから、意味が無くても生きていけると勝手に言っている。でも、心のどこかでは知っているし分かっている、生きる意味がないと人生はつまらないと。生きていけないと。
でも、分からないなら仕方ないんじゃないか? だって、分からないし、それに、ないんだしさ。
屁理屈を並べてなんとか自分の意見を正当化させる。
そうすることで、なんとか自分を保つことができるから。
「誠君。悩み聞くよ!?」
誠が暗い表情を浮かべていると、それを打ち消すように琴音は口を開いていた。
どうしてだろう。なんでここまで、僕に対して接してくるのだろう。いつも暗そうな顔をしている僕に、どうしてそこまで優しくできるんだ? どうしてなんだ。
それに、どうして話してみたくなってしまうんだろう。
「実はさ、昔は笑う子だったんだ」
気が付くと勝手に口が開いていた。
「でもある日、笑うことをやめたんだ。どうして止めたのかは分からない、でも、当時の僕は止めたんだ」
「それで、親からは恐れられたんだ。きっといつも笑っていた我が子が笑わなくなったことに恐怖を覚えたんだろうね」
「でも、それはどうでも良かったんだ。それでさ、親から言われ続けた言葉が僕の心を傷つけたんだ。「あの子」って言うようになったんだよ。それから、僕は分からなくなった。何故、愛されていた親から他人呼ばわりされたのか。それに、きっと、傷ついたんだ」
「それから、僕は場を読むようにした。この時は笑うとか、この時は泣くとか、そんなことをしているうちに僕は自分の感情が分からなくなった」
「そうだったんだ」
琴音の方に顔を向けると、泣いていた。
すでに目は赤くなっていた。
「泣くほどのことじゃないよ」
「うんん。悲しいことだよ」
そう言いながらも琴音は泣いていた。
琴音の泣いている姿を見て分かったことがある。琴音はきっと死ぬべき人ではない、誰かを幸せにできる人だし、生きて行くべき人なんだ。
「誠君は頑張ったよ。だからこれからはさ、自由に生きてみてよ。誰かの顔なんて伺う必要なんてないし、自分を大切にするべきだよ」
震える声で琴音は言う。
「できるかな」
「できるよ! 私が保証する。だから私が死ぬまでに生きる意味を見つけてよ!」
「頑張ってみるよ」
誠は変わっていく気持ちに気付きながらも隠し頷いた。
また、琴音は秘密を隠しながら泣く。
「じゃあ、私と付き合ってよ」
教室には琴音の声だけが響く。
「え? でも、なんていうか、その」
こういう時なんというのが正解なんだろうか。もう時間がない琴音は誰かと恋愛をしてみたいと願っている。それを叶えることができるのは現状僕しかない。もし、断ってしまえば悔いを残したまま死ぬことになる。
でも、恋愛というのは好きな人同士て恋愛をするのがが当たり前である。
「やっぱ嘘。忘れて今言ったことは」
琴音は偽りの笑みを浮かべた。
そして、鞄を持ち教室を出ようとする。
「じゃあ、明日ね」
「待って、その、うん、付き合おう」
止めようとしても口は止まってくれない。
「僕で良ければ付き合うよ」
「お断りしまーす」
意地悪そうに琴音は笑い、教室を出た。
どういうこと?
僕の心では理解できない心境になっている。
ぐしゃぐしゃになっている心を落ち着かせるために深呼吸をする。
感じたことない鼓動の速さに戸惑いながらも考える。
僕は今振られたのか?
数週間後。
いつも通り琴音は僕に話しかけて来た。
もはやこれが当たり前になっていた。
「それじゃあ、今日は将来の夢について語るぞ~!」
琴音は元気よく腕を上げる。
その様子はまるではしゃいでいる子どもみたいだった。
数週間前に告白のようなことをした誠は上手く空気が読めなくなっていた。
どのように接するのが正解なのか、どのように話すのが正解なのか、全てが分からなくなっていたのだ。
「おーい。聞いてる誠君?」
「あ、うん。聞いてるよ」
数週間経っても僕の気持ちは理解できていない。
あの日の放課後、僕はどうして告白まがいなことをしたのだろうか。分からない、けど、あの時の僕は思ったことを行動に移したのだろう。
「おーい。誠君?」
「は、はい」
「誠君の将来の夢って何?」
「うーん。決めてないな」
「嘘でしょー? 本当に生きる意味が無いの?」
「うん。前にも言ったけど生きる意味なんてなくても生きていけるし」
「はぁー。まだそんな考えしてるの?」
「うん。だって本当のことじゃないか」
「いやいや、あのね誠君。人は生きる意味を持つことに意味があるんだよ。だから、誠君は生きる意味を探さないといけないの!」
なかなかの暴君だ。
そもそも、僕は昔から分からないんだ。生きる意味が分からないんだよ。
だから、意味が無くても生きていけると勝手に言っている。でも、心のどこかでは知っているし分かっている、生きる意味がないと人生はつまらないと。生きていけないと。
でも、分からないなら仕方ないんじゃないか? だって、分からないし、それに、ないんだしさ。
屁理屈を並べてなんとか自分の意見を正当化させる。
そうすることで、なんとか自分を保つことができるから。
「誠君。悩み聞くよ!?」
誠が暗い表情を浮かべていると、それを打ち消すように琴音は口を開いていた。
どうしてだろう。なんでここまで、僕に対して接してくるのだろう。いつも暗そうな顔をしている僕に、どうしてそこまで優しくできるんだ? どうしてなんだ。
それに、どうして話してみたくなってしまうんだろう。
「実はさ、昔は笑う子だったんだ」
気が付くと勝手に口が開いていた。
「でもある日、笑うことをやめたんだ。どうして止めたのかは分からない、でも、当時の僕は止めたんだ」
「それで、親からは恐れられたんだ。きっといつも笑っていた我が子が笑わなくなったことに恐怖を覚えたんだろうね」
「でも、それはどうでも良かったんだ。それでさ、親から言われ続けた言葉が僕の心を傷つけたんだ。「あの子」って言うようになったんだよ。それから、僕は分からなくなった。何故、愛されていた親から他人呼ばわりされたのか。それに、きっと、傷ついたんだ」
「それから、僕は場を読むようにした。この時は笑うとか、この時は泣くとか、そんなことをしているうちに僕は自分の感情が分からなくなった」
「そうだったんだ」
琴音の方に顔を向けると、泣いていた。
すでに目は赤くなっていた。
「泣くほどのことじゃないよ」
「うんん。悲しいことだよ」
そう言いながらも琴音は泣いていた。
琴音の泣いている姿を見て分かったことがある。琴音はきっと死ぬべき人ではない、誰かを幸せにできる人だし、生きて行くべき人なんだ。
「誠君は頑張ったよ。だからこれからはさ、自由に生きてみてよ。誰かの顔なんて伺う必要なんてないし、自分を大切にするべきだよ」
震える声で琴音は言う。
「できるかな」
「できるよ! 私が保証する。だから私が死ぬまでに生きる意味を見つけてよ!」
「頑張ってみるよ」
誠は変わっていく気持ちに気付きながらも隠し頷いた。
また、琴音は秘密を隠しながら泣く。



