電車から降り、街灯の少ない道を歩き始めた
暗い道だと普段は怖いけど、いつもより怖くない気がする
それでも死神さんは何も話さない
(あれ…なんかつけられてる?)
後ろから足音がする
だんだんと近くなる…
「いるな」
死神は後ろを向いた
私も続いて後ろを向いた瞬間、見知らぬおじさんに、力強く腕をつかまれた
「ちょなに!はなして!!!」
「俺は死ぬ!!!俺と一緒に死んでくれ!!」
「い…やです!!はなして!」
死神さんの方を見ると死神はポケットから何かを取り出した
(カッター…?)
私がそれをカッターだと認識した次の瞬間、死神は自分の腕をそれで切った
「え!?!?」
切って痛いはずなのになにもないような顔をしている
そしてその血を私の手をつかんでるおじさんの手につけた
おじさんはその場に倒れ込んだ
「え!?ちょ、え!?」
「気にすんな。この方はあと1時間後に亡くなる」
淡々と話し歩き始めようとする死神
「まってまってまって。私、今のところなにも追いついてないんですけど!この方誰!?なんで腕切ったんですか!何をつけたんですか!なんでこの人は死ぬんですか!殺したんですか!」
「多いな…」
多いことは分かっている
でもいまの数分になにがあったのかとても理解ができない
「この人はさっき俺が手続きした、もうすぐ死ぬ人。俺は腕を切ってその人に血をつけることでその人は一時的に意識をなくす。この人は今日自殺をしようとしている。俺は殺してない。お前を助けた。これでいいか?」
「なるほど…。まぁなにはともあれ私を助けてくれたんですね?ありがとうございます」
「ん?あぁ」
死神は当たり前だろという顔をした
「本当に何者なんですか……あの…私…あなたをもっと知りたいって思ってきました」
「わかった。でも今日は遅いからまた今度な。しっかり寝ろよ。風邪ひくなよ」
死神は私の頭を撫でてまた消えた
「え…?」
何この胸の高鳴り
久しぶりにキュンとしたことだった
私は家へ帰りお風呂に入った
「どうなってんだ〜、」
いくら頑張っても考えてもわからない
死神は一体何者なんだ…
私はその後すぐ全部終わらせ寝た

